中国の内需拡大が世界経済を引っ張っていく
中国人の日本訪問時代の幕開けに期待
自然災害にビッグイベントの開催、そして世界規模の経済後
|
■世界は新しい出発に立っている
Q 過ぎ去った2008年をどう振り返りますか。
A 2008年は、四川大地震に北京オリンピック、パラリンピックの開催、そして、福田首相、麻生首相の来訪、後半に金融危機など、色んなことがありました。ある意味、中国と世界の発 展が一つの到達点になって、これからは新しい出発をし、経済的な枠組みをもう一度構築しなければならない時でもあります。
Q 北京の航空業界にとっては、第3ターミナルの開業という出来事もありましたね。
A そうですね。これもたいへん忘れられない一つのイベントでした。
私たちは3月26日から新ターミナルを利用するようになったのですが、航空会社は一日も飛行機を止めてはならないので、25日夜中に引越しして、翌朝から飛行機を飛ばしました。短い間で全部引越ししなければならなかったのですが、極めてスムーズに引越しができました。
第3ターミナルは非常に大きなターミナルで、南北の長さだけで3キロもあり、歩くとたっぷり40~50分もかかります。実はたくさん人がいますが、混雑しているように見えません。しかし、お客様がチェックインしてから、ゲートにたどりつくまでに、慣れていないと40~50分平気でかかるので、そういうご案内を徹底してやってきたので、今はたいへん使いやすくなりました。ラウンジもたいへん広くなりましたし。
今は、航空会社はもちろん、お客さんも使うのに慣れてきたと思いますね。
■中国市場の将来性に期待
Q 2008年、JALの中国線の利用客の変化は?金融危機などを背景に、JALにおける中国市場の位置づけに変化がありましたか。
A 去年、地震の影響や、五輪の時もホテルが高騰していたため、残念ながら、お客様の人数がその前の年に比べて減っています。ただし、ビジネス旅客について、日中間の経済的な往来が盛んになるのにつれ、底堅く、順調に伸びていくことが期待されています。
短期的に、金融危機で会社は出張を削減したり、中国では地震の影響もあって、公務出張だとかが減ってくる傾向にあるようですが、むしろ、私が注目しているのは、中国の内需刺激策とそのための資金投入です。これから、中国は内需を中心とした様々な産業が発展していくのにつれて、中国人がより世界に向いていくと思います。そういう意味では、これからは中国人がどんどん外に出て行く需要が伸びていく時代になると期待しています。
中国市場に対する期待は、日本航空だけでなく、いま、世界規模の景気後退期を乗り越えていくのには、中国の内需が極めて重要で、これが世界経済をひっぱっていく要素になると見られています。
■コスト削減で難関を乗り越えたい
Q 金融危機の本当の影響は2009年だとも言われていますが…
A 航空会社は石油燃料を使う産業なのですが、多少良いことで言うと、今、原油価格が下がっているので、そういう部分でコスト削減になること。それから、お客さんにとって燃油サーチャージが下がるので、利用しやすくなるという利点があります。
ただ、そうはいっても、企業というのは常にコストを削減していく必要があるので、今、そのための様々なプロジェクトを立ち上げています。たとえば、燃料を節約するために積んでいるものを軽いものにするとか、余分なものをつまないとかです。特にこの時期なので、そういうような費用削減策を、これまでにも増して一段とやっていく必要があります。
Q 北京支店として、2009年への期待は?
A これからは中国が発展の次の段階を迎えます。中国の方が日本にビジネスや観光でいくことが増えつつあります。
例えば、北海道がブームになっているし、沖縄も知名度が上がっています。東京、大阪だけでなく、日本の地方都市の名前も中国人に知ってもらう。日本の魅力もこちらのメディアの中で紹介されていますので、これから中国の方が本格的に日本に行っていただく時代がやって来る。私たちもこれをどうやって後押ししていくのか、どうやってプロモートしていくのかを考えています。
■人懐っこい中国人
Q 中国のご滞在は3年目に入ったようですね。中国人との付き合いで、印象に残ったことは。
A 人懐っこさです。中国語には「老朋友」(古き友人)という言葉がありますが、これには10年数来の古い友人を指す場合もあれば、一年前、あるいは最近知り合ったばかりの人でも、価値観が分かち合える人と思えばすぐ使っているようです。
それから、中国人の生活には、人と人とのネットワーク作りが一番底流にあるもののようです。これが中国人のDNAにあるものなのかもしれません。「この人と知り合えば、こういうために役立つ。私も相手に何かしてあげないと、何もやってくれない」というふうに、極めて合理的な考え方があるようです。
日本もきっと昔はそうだったと思います。まずは隣近所の人とか、お隣の人の子どもがいくつになって、それが大きくなってどこに行った、そして、孫が生まれてきたということを、皆が知り合っていました。今はそういう風ではなくなりましたが…
Q これから中国に来る日本人へのご提言は?
A 言葉の勉強なのかな。言葉は、その国で暮らしていく時に非常に大事です。文化は言葉で成り立っているからです。
私が身近に感じるのは、中国語の中に、いわゆる日本のふるさとを見つけることがあります。まだ私は中国語を勉強して時間が経っていませんが、近代科学、社会科学の用語を除くと、私たちが普通に使っている漢語でできた言葉は、だいたい中国語にルーツがあるものが多いなと気づいたことです。それを知らず知らずに日本語で考え、日本語で生活していますが、本来は中国語にある言葉がすごくあるのですね。中国語がたいへん難しいけど、そういう中国の言葉と日本の言葉の共通点、あるいは、それが変化したということが分かるととても面白いと思います。
Q お勧めの北京の楽しみ方は?
A 私が北京にやってきたばかりの時は、五輪に向けて色んな工事をやっていた最中ですが。今、だいぶ色んなものが完成しましたし、世界中の名だたるホテルや、国際ブランドが一通りそろいはじめていますので、北京は世界でも有数な国際都市になっています。
ただ、日本人にとっては、この点だけなら東京も同様なので、やはり、国際的なものと昔から中国にあったものとうまく同居できるようになると、ほんとに面白い町になると思います。
国際都市の完成に近づいた北京と、古い北京と見比べて暮らし、見て歩くのが面白いのではと思います。
(聞き手:王小燕)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |