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日本人スタッフのつぶやき262~存在する歴史~

2013-08-12 19:06:23     cri    

 「北京にいるうちに一度見てた方がいいよ」と知人から言われていたが、なかなか足を運ばなかった場所。それが「中国人民革命軍事博物館」だった。日本からの友人が是非見たい、ということで先日初めて訪れた。

 夏休みということもあり、中国各地から訪れた大勢の子供連れの家族。その長い行列に加わった。「でも、どうやって入るの?」。窓口に立つ2人、ともに中国語が無理だ。CRIのIDを見せ、日本語で何とか頼むと受け付けの男性が笑顔で「あっちへ」と入口に誘ってくれた。入場は無料だそうだ。

  いつもは建物内で展示されているそうだが、工事中で展示物はすべて外に出してあった。ずらりと並んだ戦車や戦闘機、カノン砲など、その数に圧倒される。中国人民解放軍の武器はもちろんだが、接収された日本軍やアメリカ軍のものをある。特に日本軍の武器は1910年代から終戦まで、数の多さに驚かされる。まさに中日の歴史が体に飛び込んで来る。

  「すごいね」。顔を見合わせる2人。戦争を知らない2人にとって、武器の重厚さに驚きながらも次第に無口になっていく。周りでは子供達が楽しそうに駆け回る。遺物となった武器を前に、平和な今を噛み締める。

  のどが乾き、会場内にある店に入り、片言の中国語で「しゅい?」。アルバイトの若い男の子が笑いながら指を指す。軍服姿の女性がペットボトルの水を売ってくれた。集まって来た子供達に機関銃のおもちゃを説明するのに忙しそうだ。

 こんな近くに「歴史」があるのになぜ、これまで足が向かわなかった。ミリタリーマニアでもないのもひとつの理由だが、自分自身、恐れていたことも正直あった。人は歴史から学ぶ。そう努力すべきである。何世代にも渡り接収された日本の武器が何と多いことか。ここはもちろん日本ではない。20数年間も日本でジャーナリスト稼業をやりながら、歴史に向き合い伝えてきたかという自責の念にかられるのが怖かった。日々の事件事故に追われ、特ダネを追い、そとの世界を見ていなかったのではないかと。今、大陸から日本を見ている私がいる。(山下)

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