春節年越しの花火
私用で春節4日(2月13日)に日本に帰り、今日(18日)北京に戻ってきました。いつものことながら、北京では正月気分なのに、3時間飛行機に乗って日本に着くとまるで普通の日常があって、何だか不思議な気持ちです。新暦の年末年始も帰国しましたが、その時は逆にまるで正月気分のない北京から日本に着いたらいきなり師走で、感覚の切替えが大変でした。
今年の春節(旧正月)は大気汚染もあって花火を自粛するように政府は呼びかけていました。ニュースでも花火の売り上げは4割減とか言っていましたが、それでも年越しの瞬間は相変らずまるで戦争のように盛大に花火が上がり、私も街に出て例年通り興奮していました。この瞬間だけは北京にいることをこの上なく幸せに感じます。もっとも、全体には年々数が減っているように思います。多分、ハレの日に蕩尽し尽すという気分がだんだんなくなってきた、中国の人たちの意識の変化が背景にあるのでしょうが、ちょっと寂しい気がします。
ところで、帰国する前に知合いに連絡したら薬を買ってきてくれと頼まれ、薬を探すかたわら春節のひっそりとした街の様子を見てきました。
「超市」というのは文字通り「スーパー・マーケット」のこと
春節でほとんどの店が1週間ほど休みのなか、大体スーパーは年中無休です。ただし、大晦日と春節初日だけは開店時間を短縮するところが多かったようです。店頭に山積みされているのは、年始のあいさつ用贈答品。それだけを売る出店が街頭に出たりしています。
年始まわり用贈答品売り場 果物や飲み物が多い
日本の新年と同じように、中国でも春節には親戚知人を訪問し年賀の贈答品を贈りあうのは同じです。ただし、こちらではまだ「大きいことはいいことだ」とやたら箱が大きくて、これでは手に持って何軒もまわれません。
他にも営業しているのが酒タバコ店、花屋。どちらもやはり年賀の手土産用です。
街の食堂はほとんどが年末から長期休暇に入ります。こういう店は従業員がほとんど地方からの人たちで、いつもは年中無休で営業していますが、春節は年に一度彼(女)たちが帰省する季節です。春節に故郷に帰ることを楽しみに1年頑張ってきたんですからね。
近所の北京ダックと北京料理の中級レストランもにぎわっていた
一方、中級・高級レストランは逆に稼ぎ時。「年夜飯」と言って大晦日に家族そろって外食をする家も多く、レストランは最低消費額1人200元以下では予約を受けつけないとか、この夜ばかりは超強気な商売をします。正月は正月でやはり家族や親戚が集って食事を楽しむ客で大賑わいです。
街のあちこちに立つ花火の臨時販売所 最近、消火器を置くようになった
そして花火・爆竹販売所。年末になると街のあちこちに臨時の店が出ます。花火・爆竹の音は春節の1週間前から少しずつ聞え始め、年越しの夜が一番のピークになりますが、もう一回、旧暦1月15日の夜が最後のショーになります。この日は日本でも「小正月」と呼ばれ、特に日本海側では様々な行事が行われます(秋田のなまはげも本来は小正月の行事だったそうです)が、中国では「元宵」と呼ばれる春節最後の日。「元宵」と呼ばれる団子を食べ、残った花火を盛大に打ち上げます。花火店もこの日に売切らないと1年後まで待たねばならないと、かなりディスカウントしてでも何とか売切ろうとします。
最初にも少し書きましたが、ニュースによれば今年は例年にくらべて売上げが4割減だそうです。大型の打上げ花火は1つ1000元(15000円)以上。直前の大気汚染騒動や景気が今ひとつパッとしないこともあって、それを一瞬で文字通り花と散らしてしまう、以前のバブリーな花火合戦は大分おさまってきました。また、今年は花火業者が「環境にやさしい花火」を売出したそうですが、単価が高いため売行きは今ひとつ。販売数の減少を単価増でカバーしようと思った業者の思惑は見事に外れました。中国市民はそんなことじゃだまされません。
「药」は「薬」の簡体字。「約」は発音が同じなので。
さて、知人に頼まれた薬です。正月だからどうかな?と心配していたんですが、中国の薬局は店自体は閉っていても、夜間窓口があって24時間薬を買えるところが多く、春節でも何とか買うことができました。言うならば救急窓口といったところですが、見ていると子供づれのお母さんなど結構買いに来る人が多かったです。健康保険制度がようやく整い始めた中国ですが、まだまだ売薬に頼る人が多い証拠でしょうか。(大野清司)
夜間販売窓口。ちょうど親子づれが薬を買いに来ていた。
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