ある時、私の住んでいる団地でこんな看板を見つけました。5元と言えば今のレートでは60円ほど。ちょうど髪も伸びていたので、どんなもんだろう?と好奇心半分で次の日曜日に行ってみました。
「理髪五元」の看板 「发」は「髪」の簡体字
パラソルの下は靴修理・鍵複製の店
この写真を撮った時は看板だけ下がっていたので、どこか近所で開店しているのかと思っていたら、青空床屋。団地の一角の靴修理・鍵複製、自転車修理の露店と並んで店開きしていました。三輪リヤカーで道具を運んできて、昼間だけ散髪をしているようです。お客は近所の老人がほとんどで、確かに、年金暮らしのお年寄りには頼もしい味方でしょう。
後ろのリヤカーに道具が積んである
私も実際に髪を切ってもらいましたが、ハサミはもちろん電池式のバリカンやレザーまで使ってていねいに切ってくれました。
表通りには、大型の美容院兼理髪店が何軒もあります。
表通りの理美容院
大体、チェーン店で設備も新しく、若い店員が10人以上ずらりと並んでいます。こういう店になると、洗髪は若手の見習いのようなスタッフがやり、カットは別のスタッフという分業になります。値段もちょっと高くなって、洗髪付きで20元(250円ほど)。
ところで、八宝山に引っ越してきた当初はこの表通りの美容院に行っていたんですが、そのうち団地の中の理美容院を見つけて、最近はずっとそこに行っていました。
団地内の理美容院
ここは50歳前後の夫婦がやっている小さな理美容院で、洗髪もして10元。奥さんの時は、ていねいに頭や肩のマッサージもしてくれます。
何人(なにじん)だと聞かれたので「日本人だ」と答えましたが、何度言っても分かってもらえず(中国語の「日本」は発音が意外に難しいんです)、他の客に「韓国人だ」と説明してたりして思わず苦笑い。でも、気のいい夫婦で、言葉は通じませんが何となく楽しい気分になります。
北京の東側、外国人の多い地域には、日本人が経営している美容院もありますが、もちろん私はそういう店には行ったことがないので実際も値段もよく分かりません。そこで、CRIの日本人女性スタッフに聞いてみたら、値段は日本とあまり変わらないと言うことです。
こんなところに中国と日本の暮らしの違いのようなものを実感します。
散髪のような人の手にかかるサービス業は、まだまだ低い人件費を反映して日本と中国ではかなり価格が違います。食料品などはまだ大分差がありますが、それでも最近かなり上がってきてますし、電気製品などは日本の方が安かったりします。
また、この理髪の例で見たように、外国人向けの超高級店から青空理髪店まで幾重にも階層に分かれているのも特徴です。これは急激に中国経済が発展してきたことで、北京市民の中に階層が分かれてきたことの反映だと思いますが、青空理髪店に行く年金生活のお年寄りや出稼ぎ農民、団地内の個人経営店には近所の人や子どもたち、そして表通りの美容院にはサラリーマン、OLといった人たちが行きます。
そんな中で、青空理髪店に行き始めた私もいよいよ出稼ぎ農民や年金暮らし老人の仲間入りかと思いました。ちなみに、散髪後出勤すると、「お、髪切りましたね」といろいろな人に言われました。同僚の日本人女性スタッフに「どう」と聞くと、「悪くない」と言われて、ちょっと安心したのでした。(大野清司)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |