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日本人スタッフのつぶやき54―「対話の文化」の中国人と「察しの文化」の日本人

2011-06-13 10:56:34     cri    

 皆様、こんにちは。これまで食べ物のことや中国の習慣についてつぶやいてみましたが、今日はまた初めの2回でつぶやいていた、コミュニケーション面についてつぶやいてみようと思います。

 ある外国人向けの日本語の教科書にこんな会話があります。

 「来週の金曜の夜、○○のコンサート、いっしょにいかがですか。」

 「金曜日の晩はちょっと。」

 このやりとり、日本人の間では、ごく当たり前に行われています。日本人なら、「ああ、ダメなんだな」と察しがつきます。私たちは、小さい頃から、このような習慣が染み込んでいますから、他の国の人たちにも、ついついそのように接してしまいます。

 しかし、それは日本人の間でなら通じること。文化・習慣がやや異なっている中国人には、当然のことながら通じません。

 例えば、こんなやりとりがありました。

 ある冬の朝、授業中、教室の窓が開いていました。とても寒いです。そこで、日本人学生が中国人の先生にいいました。

 「先生、寒くないですか。」

 この学生は、寒いから窓を閉めてくれといいたいのですが、相手は先生ですから、遠まわしに言っているのです。返って来た答えは

  「ああ、大丈夫ですよ。気にしてくれてありがとう。」

 この答えを聞いて、その学生の気持ちは、その日の気温同様、凍りついたことでしょう。

 10年の中国生活で多少なりとも中国人の友人・知人ができました。彼らとの交流を通じて分かったことは、中国は「対話の文化」であるということです。

 私も日本で生まれ育ちましたから、日本式の交流法が染み付いています。ですから、先ほど例に出した日本人学生のような失敗も多々ありました。予想通りの結果が出なかったとき、少しムカっときます。そんな私を見て、ある中国人は言いました。

 「言わないと分からないよ。自分の気持ちははっきり伝えないと。」

 先ほども申しましたとおり、日本人は「察しの文化」。自分の気持ちをストレートに相手にぶつけることは、よしとしません。冒頭の「金曜日の晩はちょっと」という表現も「ダメです」とストレートに言われた時の相手の気持ちを考えて、あえてぼかしているのです。

 日本人学生の遠まわしの表現も目上の人への配慮からきているものです。

 しかし、中国人にはそのようなやり方は通じません。やはり自分の気持ちをストレートに言わないと、相手はわかってくれません。

 交渉の場合もそうです。日本人は相手のことも考え、あまり無理な要求は出しません。「相手もこちらのことをわかってくれるだろう」と思い、無理なことは言われないものとたかをくくりがちです。

 本当にそうでしょうか。実際は、その逆だと思います。相手側から、厳しい要求を突きつけられ、立ち往生することもしばしば。日米間の交渉において、アメリカの要求に屈する日本の姿を見れば容易に理解できるかと思います。

 このように、日本と中国は、コミュニケーションの文化が違うため、お互いに対する誤解が生まれます。中国人は、察しの文化に染まった日本人を「何を考えているか分からない」と見、日本人は中国人を「何でもズケズケ言う、きつい人」と見ます。それは、お互いの文化背景を理解していないためです。

 お互いの文化の違いを認識し、相手のそれを尊重した上で付き合っていく、これが日中の民間レベルでの交流において大切なことではないかと思います。

 日中関係は、何も政治家同士の話ではありません。国民感情が両国関係に与える影響が大きいため、やはり、個々人の交流の積み重ねが大切なのです。お互いの文化を尊重して、交流していく、そうすれば、日中の相互理解が実現する日も近づくのではないでしょうか。(吉田陽介)

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