このストーリーの原作や映画、ドラマを繰り返し見て感じたのは、これは異文化に属する二人の出会いの話だということでした。だとしたら、小倩を「希望に満ち溢れる中国人と出会って勇気をもらった日本人」と位置づけることも可能なのではないか、と。主役の寧采臣を演じる松浦新が中国武術の使い手だったこともあり、彼を希望と生命力溢れる青年として描くために、書生ではなく剣客とし、一方小倩の方は昔はお金持ちのお嬢様だったけれども、今は過去にとらわれて身動きのできなくなった幽霊と位置づけることにしました。未来に属する青年と、過去に縛られる娘。二人を冷静に見つめるのは、今という時間を浮遊する道士、燕赤霞です。芝居の背景や音楽に日本的なものを持ってきたのも、私たち日本人がこのストーリーを演じることの意味を際立たせるためにほかなりません。
本番前、舞台に集合した登龍門のメンバー=撮影:六度達郎
今回の芝居に出演した役者たちは、中国大陸の中で日本人として役者を志す若者たちです。そこには中国の友人との中国の文化とのいくつもの出会いがあり、彼らはまさにその思い出に背中を押されて前へと進んでいます。彼らが経てきた経験自体が、このお芝居のテーマであり、私たちが感謝とともに中国の観客のみなさんに伝えたかったことなのです。
一つの出会いは、大きな波及効果をもって、かかわるすべての人の人生に影響を及ぼしていきます。私たち自身が中国と出会って人生が変わったように、見てくださった観客のみなさんにもほんの少しでも何かが伝わったのであれば、それに勝る喜びはありません。
(演出家 吉岡真衣子 )
さて、「これからの中日交流を支える若者たち」第一弾:エンターテイメント集団「登龍門」、最終回となる次週は、主演の松浦新さんをクローズアップします。これからの中日交流を支えるのに相応しいそのエネルギーと志を感じられる若い力を、是非お楽しみに!
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