民族音乐
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ナビゲーター 黄競
10月になって日々秋の気配が濃くなってきました。この時期は猛暑が続く夏が過ぎ去り、建国記念日の連休に当たるため、結婚式をあげるのに最も人気のあるシーズンです。さて、今回の中国メロディーはこれにちなんで、中国各地の少数民族の結婚にまつわる風俗習慣と音楽をご紹介しました。
伝統を大事にする蒙古族の婚礼祝宴
男女にとって結婚は人生の旅路で最も重要で、記念すべき事柄です。中国北方地方の大草原に住む蒙古族の人々の結婚式はまるで民族音楽の組曲のようです。早朝、見渡す限りの青々とした大草原で、かまどの煙が白いパオからゆらゆらと立ちのぼる時、結婚式に参加する親戚と友人たちが集まります。馬頭琴の愉快な音色と遥か向こうから走りくる馬蹄の音と共に、花婿の家の人たちが花嫁を迎えにきます。花嫁の家族はお客さんたちにおもてなしの酒を振舞ったり、歌を歌ったりしてとても賑やかです。
豊富で多彩な蒙古族婚礼の歌
蒙古族の結婚式には、披露宴の始まりから終わりまで各段取りに合わせた儀式の歌があります。例えば、オープニングや宴会の中ごろの儀式、そしてエンディングなどはいずれも定着した儀式の歌が歌われます。地方によってこれら儀式の歌は異なりますが、主な内容は、これまで育ててくれた親への恩や、故郷の草原、駿馬を讃えるものです。
蒙古族の結婚式では披露宴のエンディングの歌は、花嫁を花婿の家まで送り届ける儀式が始まることを意味します。花嫁は両親や兄弟たちとの別れを惜しみながら、新しい生活へと旅立っていきます。この時、花嫁の家族たちは別れの歌を歌い、「私達の最愛の娘を君たちに送る。彼女を大切にしてほしい。皆、万事めでたく順調に行くように」と祈ります。一方、花婿の家の人たちも歌で答え、「どうぞご安心を。私たちは必ず新婦を大切にする。新郎新婦はきっと円満な結婚生活を送ることができる」と歌います。
喜びに満ちたウィグル族の結婚式
中国西北部の新疆ウィグル自治区に住むウィグル族はチュルク系遊牧民族の子孫で、その大多数の人たちはイスラム教を信仰しています。ですからウィグル族青年の男女の結婚式はイスラム教の特色に富んでいます。
当日の早朝、男女はそれぞれの実家で宴会を行い、お客さんをもてなします。午後、新郎側が花婿を連れて新婦側の家に来ます。新婦側の人たちは,色々な食べ物を用意して花婿たちを迎えます。そして新婦側の家の庭で、両家が一同に会し共に踊ります。お客さんたちがみんな歌を歌い、大いに踊って結婚式の雰囲気を最高潮に盛り上げます。婚礼は3日間続きます。
妻の実家に婿入するラフ族の花婿
中国西南部・雲南省に住むラフ族は山岳民族として有名で、狩猟採集民族としての文化を色濃く残しています。ラフ族の結婚は男女の完全な自由恋愛で、また、結婚した後、夫が妻の実家で暮らす決まりがあります。ラフ族の結婚式は普段旧暦の12月とお正月に行われます。結婚式の当日、花嫁は介添えの少女たちと一緒に相手側の家へ花婿を迎えに行きます。花婿の家は美味しいお酒と料理で花嫁側をもてなします。結婚式が終わった後は村の人々が歌ったり踊ったりして徹夜で祝います。
番組の中で送りした曲
1曲目 阿尔泰杭盖(アルタイハンガイ)
内蒙古自治区西部のウラト地区に伝わる歌で、蒙古族の披露宴の最後に歌われることで知られています。
歌詞:
アルタイのハンガイは連山の頂上
アルダの駿馬は天から与えられた良馬
疾走して森林を通り過ぎ
南へ飛んでいくオオカリを追いかける
それは不思議な駿馬。
2曲目 送親歌(花嫁を送る歌)
蒙古族の花嫁が、幸せだった娘時代、そしてやさしかった両親と別れる時に歌います。
歌詞
オオカリが南へ飛んで行き
秋風が草原に吹きわたる。
花嫁が遥か彼方へ続く眺め
いつかまた故郷へ戻る。
お父さん、お母さんお元気で
もし生まれ変わったら
今度は男性になって、嫁には行かず
ずっと両親の傍から離れない
3曲目 婚礼之歌(婚礼の歌)
ウイグル族の民謡を元にアレンジしたものです。曲の中に出てくるレワープはウィグル族の伝統弦楽器です。
歌詞
レワープの音色はなんと美しいのか
まさか金の弦を付けているのではあるまいか
私たちの結婚式はなんと楽しいのか
心の中に恋の炎が燃えている。
あー
空は私たちの広い講堂
大地は私たちの豪華な絨毯
星と月は私のお客さん
柳と砂丘は私たちのお伴
あー
ザクロの花のようなアナルハンよ
私たちは何時までも一緒だよ。
4曲目 婚誓(結婚の誓い)
映画「蘆笙恋歌」の挿入歌で、ラフ族の民謡を元にアレンジしたものです。
歌詞
私と彼の愛は長く
まるで川の流れのようだ
川の水が尽きても
彼はいつまでも私の傍にいる
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