ナビゲーター　黄競

　9月中旬、北京は天高く空気がさわやかな天気が続いています。秋雨が降った後の高く澄み渡った秋の青空は、遠くの山々も近く鮮かに見せてくれます。今回の中国メロディーは秋の果実をテーマに、中国各地の民族音楽をご紹介しました。

　秋の果樹園では、梨の木の枝が黄色い灯籠を纏い、リンゴは赤い笑顔を見せます。そして葡萄は瑪瑙のように美しくみずみずしい輝きを放っています。青空の下でこの秋の恵をたっぷり味わうことはなんて幸せなのでしょう。

　　　　　　　　　子孫繁栄を表す「吉祥果」

　秋になると、ザクロの実も旬の季節を迎えます。ザクロの小さな実の一粒一粒はまるで赤い瑪瑙のようです。中国ではザクロは子孫繁栄を表す縁起の良い果実とされ「吉祥果」と言われています。世界三大美人の一人、楊貴妃はザクロを好み、食べるだけでなくザクロのような赤いスカートも好きだったそうです。当時、楊貴妃は才知と美貌で玄宗皇帝の寵愛を独占し絶大な権力を握りました。大臣たちは楊貴妃の権威を恐れ、そろってひざまずき礼をしました。その後「ザクロのような赤いスカートの元にひざまずく」という言葉が広く伝えられるようになりました。これは女性の美貌のとりこになることのたとえです。

　　　　　　　　　　　美しい葡萄溝

　新疆の天山山脈東部に位置するトルファン盆地の葡萄溝は果物の産地として知られています。葡萄、梨、杏など、すべてが美味しく、毎年9月に葡萄が熟すと多くの観光客がやってきます。葡萄溝の葡萄は赤、紫、緑、白など多くの種類があります。赤い葡萄はまるで瑪瑙のようで、緑の葡萄はヒスイのように美しくみずみずしいです。特に有名な種なしの白ブドウは、薄皮で肉厚、水分が多くてとっても甘いです。もし、みなさんがこの時期に葡萄溝を訪れれば、お客好きなウィグル族の人々が必ずおいしい葡萄でもてなしてくれるでしょう。

　　　　　　　　　　メロンの王様ハミーメロン

　秋風が天山山脈の麓に吹きわたる頃、天山東部に位置するオアシス、ハミー地区は金色の霞に染まります。この時期、地元名産のハミーメロンもいよいよ収穫のシーズンを迎えます。メロン畑にはハミーメロンのいい香りが漂い、娘たちが豊作の歌を歌うと、若者たちはドンブラを引きます。

番組の中でお送りした曲

　1曲目　我是一个大苹果（私はリンゴ）

　秋の到来。木の葉は黄色く色づき、木々が鮮やかな色彩の衣装に着がえました。そしてすっかり熟したりんごの赤い顔は、恥じらいのある女の子のようです。この童謡は女の子の純真無垢な歌声が子供らしさ溢れる世界へ誘います。

　歌詞

　私は大きなリンゴ

　子供たちはみんな私が好きだ

　私は甘くて美味しい

　皮は赤くて綺麗

　子供たちがたくさん食べたら

　その顔はまるでリンゴのよう

　2曲目　石榴紅（ザクロが赤くなる）

　歌は1940年代の歌手・暁露です。その懐かしいメロディーが、白黒映画の時代を彷彿させます。

　歌詞

　ザクロよ

　花が赤くなり

　娘に笑顔に溢れる

　愛しい人よ

　あなたは思いやりのある深い言葉を

　贈ってくれた

　「ザクロの花が咲く時に再び出会う」

　3曲目　　吐鲁番的葡萄熟了（トルファンの葡萄が熟した）

　曲はウイグル族の娘アナルカンの恋人クリムへの思いを描きました。

　歌詞

　トルファンの熟れたぶどう

　クリムは軍隊に入り国境の歩哨所に行った

　行く前にぶどうの木を一本植えた

　果樹園の娘アナルカンは

　この小さな緑の苗を丹精こめて育てた

　雪どけ水を引き、苗に与え

　ぶどう棚を作り、日差しを浴びさせる

　ぶどうは肥えた土に根付いていく

　長い長いつるは心に絡まる

　長い長いつるは心に絡まる

　4曲目　请你尝块哈密瓜(ハミ―メロンをどうぞ)

　歌詞

　遠くからはるばるようこそ

　さあ、馬を下りてください

　ハミーメロンをどうぞ

　お客さんは大歓迎

　緑の家ヘ

　さあ、いらっしゃい