民族音乐
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ナビゲーター 黄競
8月中旬、北京はまだ暑い日々が続いています。でも、美味しいスイカや桃など夏の果物を楽しめます。今回の中国メロディーは夏をテーマにして、四川省の風俗習慣と伝統音楽をご紹介しました。
中国の歴史の重要な舞台――四川省
四川省は中国の西南部に位置しています。東部の四川盆地は漢民族を主体とし、西部の川西高原にはチャン族、ブイ族、チベット族、トウチャ族など多くの少数民族が暮らしています。四川省は歴史上重要な舞台であり、三国時代に劉備や諸葛孔明などの英雄たちがこの地に蜀の国を興し、魏・呉に対抗して三国時代を築きました。
こうした多様な民族文化と悠久な歴史から生まれた四川の伝統音楽は独特で多彩な魅力を持っています。例えば、四川省トゥチャ族の民謡「太陽出来喜洋洋(太陽を臨む喜び)」は四川省の独特な自然環境と、明るくて楽観的なトゥチャ族の人々の生活をうまく表現しています。四川省は1年中湿度が高く曇っており、晴れの日が少ないため、久しぶりに太陽が顔を出すと皆はとても喜びます。この「太陽を臨む喜び」という民謡はこうした独特な自然環境から生み出されたものなのです。
花好きな民族――トゥチャ族
湖南省や四川省の境に住むトゥチャ族の人々は花好きで知られ、トゥチャ族の住居の周りには梅、椿、杏子など様々な花が植えられます。初夏になるとさまざまな花から芳しい香りが村に漂い、沢山の鳥や蝶が集います。
トゥチャ族にとって花は、若い女性が意中の人と結婚の契りを結んだという印の贈り物です。そして毎年、椿が咲き誇る時期に「追花(花追い)」というイベントを行います。きれいな民族衣装を身に纏った娘たちが美しい椿を意中の男性に贈り愛を告白します。また、手先が器用な娘は色鮮やかな花模様を織り込んだ錦織を意中の人に送ります。
雲の中の民族――チャン族
四川省西北部に住むチャン族は中国の最も古い部族の一つで、村のほとんどが高い山の中につくられているため、「雲の中の民族」と呼ばれています。
チャン族の歴史は今から3000年余り前に遡ります。中国の伝説上の農耕の神様で漢方薬の神様でもある神農氏はチャン族部落の首領だとされています。チャン族には今でも多くの農業活動に関わるイベントが残されています。
その中の祭山会という祭りは、一年の中で最も盛大な祝日で、五穀豊穣と家畜の繁殖を祈るものです。地方によって、祭山会の開催期も異なります。茂ブン・チャン族自治県では毎年5月に祭山会の祝賀イベントが行われます。これはチャン族の祈祷師が主宰し、チャン族の叙事詩や伝統文化を若者たちに伝えます。
歌と踊りの民族――イー族
四川省西南部の涼山イー族自治州は中国最大のイー族の人々が集まり住む地域で、地元に住む黒イー人はイー族の人グループです。黒イー人は歌と踊りがみんな堪能で、曲比阿烏や吉克隽逸など多くの有名な民謡歌手を輩出しており、歌と踊りの故郷と呼ばれています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 太陽出来喜洋洋 (太陽を臨む喜び)
この歌は四川省トゥチャ族の民謡です。四川省の独特な自然環境と、明るくて楽観的なトゥチャ族の人々の生活をうまく表現しています。
歌詞
太陽が顔を出した
みんなが喜ぶ
天秤棒を担いで
山へ行こう
斧を持って
虎や狼は恐れない
2曲目 摆手舞(手を振る踊り)
歌はトゥチャ族の有名な歌手・野馬です。祝日にトゥチャ族の男女が歌ったり踊ったりする楽しい場面を表現しました。
3曲目 羌族酒歌(チャン族酒歌)
この歌はチャン族の混成合唱曲です。曲はチャン族の人々が祝日に客人を迎える時に歌うもので、そのときの歓迎と祝福の意を表しています。
4曲目 帯我到山頂(私をあの山の頂上へ連れてって)
この唄はイー族の若手歌手・吉克隽逸さんが歌ったものです。今年24歳の吉克隽逸さんは昨年9月に、中国人気オーディション番組「ザ・ボイスオブチャイナ」で頭角を現しました。彼女の異国情調溢れたルックスと魅力ある歌声は多くの観客を魅了しました。このイー族の民謡を元にアレンジした「帯我到山頂(私をあの山の頂上へ連れてって)」という曲は吉克隽逸さんのデビュー曲で、イー族の人々の母親とふるさとへの愛情をうまく表現しました。
歌詞
私をあの山の頂上へ連れてって
美しい村、ママの涙、
夜、ママの歌声
世界の果てをさすらう旅人を
呼んでいるようだ
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