民族音乐
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ナビゲーター 黄競
7月下旬から、中国では連日猛暑が続き、各地で暑さの記録を更新しました。上海など各地に高温注意報が発令されました。前回の中国メロディーは夏をテーマにし、中国西南部貴州省の伝統行事と音楽を紹介しました。今回は中国西南部の雲南省の少数民族の夏の音楽を楽しみましょう。
多彩な音楽・雲南省
中国西南部の雲南省は遥か遠く美しい雲の南にある辺境の地という意味でその名前がつけられたと言われています。雲南省東部には雄大な雪山と標高4000メートルの雲貴高原が広っています。南部には切り立った崖と深い谷が続く横断山脈峡谷区と「動物・植物の天国」と呼ばれるシーサンバンナー森林区があります。ここには25の少数民族が暮らし、雲南の多彩な音楽世界が生まれました。
客好きなジンポー族
ジンポー族は雲南省徳宏タイ族ジンポー族自治州の山間部に居住しています。地元の人々は、雲南省のほかの少数民族と同じように米を主食とし、また、米で作ったお酒「ピーカン」が大好きです。ジンポー族には今でもお客を迎える風習が残っています。見ず知らずの人が訪ねてきても、ジンポー族の主人は必ず美味しいお酒とご飯でもてなします。お客さんを空腹のまま、帰すことは、主人にとって何よりメンツがつぶれることなのです。
タイ族の重要な仏教祝日・「ホワサ」
雲南省の最南端に位置するシーサンバンナー森林は中国最大の熱帯森林で、そのうっそうとした森林のなかに象や孔雀などの動物や、さまざまな熱帯植物が生息し、熱帯植物・動物の天国と呼ばれます。
ここに住むタイ族は毎年旧暦6月から9月までにという祭りを行います。この時期は農閑期・雨季に当たり、タイ族の人々はみんな仏教のお寺へ行き、お供え物をし、お祈りをします。この期間は、外に遊びに出ることや結婚をしてはならないと言われています。
モソ人:唯一の母系社会の部落
雲南省西北部に暮らすナシ族は長い歴史を持つ古い民族です。ナシ族には多くの部落があり、雲南省最北部に住むモソ人はナシ族の1グループです。モソ人の部落では今でも母系社会が営まれ、中国に現存する唯一の母系社会の部落と言われます。モソ人の大家族では結婚した男は必要な時だけ妻の元を訪ねる通い婚の形を取ります。生家で母親、兄弟、姉妹と生涯一緒に暮らします。
ワ族の最も重要な祝日・新米祭り
ワ族は雲南省怒江山脈南部の山間部で生活してきました。ワ族の「ワ」は「山の中で暮らす者」という意味があると言われています。深い霧に包まれたアワ山に暮すワ族の人々は「万物に魂がある」とする自然宗教を信仰し、ほぼすべての祝日に祭祀を行います。
毎年8月中旬はワ族の最も重要な祝日・新米祭りを迎えます。ワ族の人々はたのしい歌と踊りで豊作を祝います。雲と霧に包まれるアワ山からも、そして美しいワ族の村からも抑揚のある歌声が聞こえてきます。
番組の中で取り上げたのはジンポー族の「舂米歌 (米を搗く調べ)」、タイ族の「有一个美丽的地方(美しいところ)」、ナシ族の「玉龍情歌(玉龍恋歌)」、ワ族の「跳動的篝火(揺れるかがり火)」の4曲でした。
1曲目 舂米歌 (米を搗く調べ)
毎年8月中旬、ジンポー族の村は最も忙しい時期を迎えます。朝霧がまだ散らない時に、村からドンドン・・・・・・という米を搗く音が聞こえてきます。また、女性たちが米を搗きながら歌うリズム感にあふれた唄も聞こえてきます。これらの歌は歌詞はなく、囃子言葉で歌われます。女性たちはこの軽快な歌を高らかに歌うことで、厳しい労働の疲れを癒していました。
2曲目 有一个美丽的地方(美しいところ)
この曲は作曲家・楊非さんが1960年代にシーサンバンナーを訪れ、魅力的な南国の風景と純朴な風俗に感動し、創作した名曲です。
歌詞は
美しいところよ
タイ族の人々が代々ここに暮らしている。
多くの村々が連なり
清らかな川が軽快に流れている。
3曲目 玉龍情歌(玉龍恋歌)
玉龍山は雲南省北部に位置する標高5600メートルの雪山で、地元の各民族の人々から神聖な山として敬われています。この唄は男女の掛け合いで歌うラブソングで、清らかな美しい女性の歌声と実直な男性の歌声はナシ族男女の愛情をうまく表現しています。
歌詞
待ってくれよ
私は森林の中に行き、
美しい花を持ってくる。
待ってくれよ
私は牧草地に行き、
可愛い白い鹿を連れてくる。
4曲目 跳動的篝火(揺れるかがり火)
曲の冒頭部分は、流れる水のような古筝の音色が軽快なリズムを刻み、聴く人を山々に囲まれる美しいワ族の村に引き込みます。そして躍動感あるメロディーは祝日の夜、ワ族の人々がかがり火を囲んで歌ったり、踊ったりお酒を飲んだりする楽しい場面を描いています。
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