程亜文「日本の集団的自衛権解禁は自らの将来を損ねる」
日本の安倍首相は『バンジージャンプ』をしているみたいだ。このほど行った記者会見で集団的自衛権の限定付き解禁についての決意を発表したが、これは日本を誤った方向に導き、軍事化の道を再び進もうとするものだ。このことについて、アメリカは見解を発表することや干渉することはないとして、火に油を注ぐような行動をとった。アメリカの態度はアジアの空に暗い影を落とした。しかし、実際の被害を受けるのは結局日本自身なのだ。
まず、周辺国家は日本に対する防備を強化するだろう。韓国は日本の歴史問題に対する無責任な対応に非常に反感を持っているうえ、日本が憲法を改正し軍事化の道を再び歩むことを強く警戒している。そのうえ、両国は領土主権の問題で厳重な意見の食い違いがあり、集団的自衛権の行使を容認したことで、日本の自衛隊は以前より大きな戦争の主導権を有するようになり、韓国は更に警戒心を強めている。同様に日本と領土問題を抱えるロシアも、日本に対する警戒や対応が更にエスカレートするだろう。日本は北方領土問題の解決を目指しているが、関連の交渉も先行きが見えなくなっている。中国・ロシア・韓国は日本の隣国であり、東アジアの中でも相当の実力を有する国だ。そうした国が日本に対して警戒を強めることは、日本の安全保障環境に大きな影響を与えることになる。
次に、日本は自らの発展の未来を閉ざすことになる。過去の半世紀を振り返れば、東アジアおよびアジア全体は良い発展の勢いを見せ、経済のグローバル化はアジアを中心に新たな段階に突入したと評価する学者もいる。
既に2つの鮮明な特徴が現れている。1つは、東アジア地域における地域経済の統合が加速していることだ。中国とASEANは自由貿易区を結成し、中日韓の自由貿易区の交渉も数年前から行われている。2つは、もともとそれぞれの発展を遂げてきた国が、次第に手を携え、緊密な経済関係を発展させ、更に密接な経済世界を作り上げようとしていることだ。このような経済世界の更なる発展は、アジアの多くの国々をよりいっそう自国の自然・人材・資本などの資源を活かすことに導き、共同発展と互恵共栄を実現することになる。
アジアの地域経済と発展の前景に対応するため、アジアの多くの国は戦略思想と政策を調整している。しかし、日本の政治家は、世界経済はアメリカ・ヨーロッパと日本が牽引するという過去の世界観にとらわれている。G7がその1つの表れだ。これらの国は、2008年の金融危機以降、西洋諸国が牽引する世界経済が末路をたどり、中国・ブラジル・インドなどの発展途上国が世界経済の発展を新たに牽引していることに気づいていない。
今日の日本は、過去の日本が犯した過ちを再び繰り返そうとしている。19世紀後半から20世紀前半にかけて、日本は工業化によって他のアジア国家をしのいだが、戦略的視野が狭く周辺国家と共同の発展の道を歩まなかったことが、その後の発展の大局に大きな悪影響を与えた。今日、日本は再びアジアに回帰しなければ、真の未来はない。周辺国家との関係の緊張はアジア全体の利益を損ね、日本は『失われた20年』から脱出するチャンスを逃すことになる。日本のエリート集団が最も戦略的知識を必要とするときに、安倍首相を含む日本の右翼団体が見せているのは大局観の欠乏であり、これは日本にとって不幸なことだ。(劉叡、大野)
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