アメリカのクリントン国務長官は4日午後北京入りし、中国での訪問を始めます。これは10日間余りのアジア太平洋6カ国歴訪における一環です。そして釣魚島を巡る紛争のエスカレートの防止や南海問題でのASEANの反中国という統一戦線の結成がクリントン長官の今回歴訪における重要な議題だと見られています。アメリカのアジア回帰に対して中国は、アメリカとの対話と交流を強化すると同時に、その戦略的配置を調整する必要があると見られています。
最近、釣魚島問題に巡って中日関係は悪化しつつあります。2日、25人からなる東京都の調査団が乗った船舶が、中国の釣魚島周辺海域に到着し、水温、地形、水深などに対する不法な調査を行いました。日本側の再度の挑発を受けて、中国外務省は日本側に厳正な申し入れを行ないました。このような背景の中で訪中するクリントン国務長官の態度が注目されています。日本側は、アメリカが日本の側に立っている再三伝えようとしますが、これについて専門家は、釣魚島問題がエスカレートすることはアメリカのアジア太平洋における利益にマッチしないと見ています。中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は「いまの加熱状態を冷ましにきたのだろう。釣魚島問題についての摩擦がエスカレートすることはアメリカにとっても良くない。中国周辺におけるその政治目標は、強くない程度の緊張感を保つことであり、中国を本当に怒らせることではない。現在、釣魚島問題はいくらかコントロールできなっているので、火消し役として来たのだろう」と述べました。
釣魚島問題のほか、南海問題もクリントン長官の歴訪における焦点の一つです。クリントン長官の歴訪には、インドネシア、ブルネイ、東チモールなどが含まれています。今年7月のASEANサミットでは南海問題で反中国の統一戦線が結成されなかったため、クリントン長官は今回訪問を通じてASEAN 諸国にその立場を統一させ、アメリカ版の「南海行動準則」を推進することにあります。
アメリカ外交政策の最高レベルの代表として、クリントン女史は国務長官に就任した後、初の訪問先をアジアにし、オバマ政権のこの地域への関心を表明しました。2011年の10月、クリントン長官は「アメリカの太平洋の世紀」と題する文章を発表し、21世紀のアジア太平洋地域の重要性とアメリカのこれへの参与を詳細に分析した上で、「未来の政治はアフガニスタンやイラクではなく、アジアで決まる。米国 はその行動の中心に身を置く」としています。中国との関係についてこの文章は、対中関係は現在、米国がこれまでに対処しなければならなかった2国間関係の中で最も困難で重要なものの一つである」との認識を示しました。
アメリカのアジア太平洋戦略に対応するため中国は、アジアだけでなく、地理的戦略で東西のバランスを維持すべきだと専門家はみています。金副院長は、「まず最初に、東西のバランス維持は徐々に実現しつつある。元々中国は海上に出ることを特に重視し、そのあとでアメリカを先頭をする西側との連携維持を始めた。しかし、海上での妨害が多いため、中国は西に向かい、特に上海協力機構というこのプラットホームを利用し、多くの問題についてしかるべき役割を果たした。二つ目はアジアという範囲から出ること。アメリカの戦略がアジアに集中すれば、ヨーロッパ、中東、ラテンアメリカとアフリカへのアメリカの投入が減るので、中国はアジアから出て、これらのところに行く必要がある」と述べました。
何はともあれ、アメリカの大々的なアジア回帰に対し、中国は冷静を保ち、措置を講じつつも事態の成り行きを見守っています。ですからアジア太平洋地域の平和と安定を促すために、アメリカが今後どのような行動をとるかが注目されるのです。
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