イエメン駐在のアメリカとイギリスの大使館はそれぞれ3日に、「アルカイダからの脅威を受け、大使館を閉鎖し現地の職員を一時帰休させた」と発表しました。アメリカとイギリスの大使館閉鎖の決定は、この2つの国がイエメンでのテロ取締りを強化することを示しています。
アメリカ国務省のフレッド・ラッシュ報道官は、3日にイエメン駐在アメリカ大使館の閉鎖を明らかにしました。フレッド・ラッシュ報道官は、その際、「安全上の理由でアメリカ大使館を一時的に閉鎖する」と述べましたが、閉鎖期間は明らかにしませんでした。この日、イエメン駐在イギリス大使館も閉鎖しました。国際問題専門家は、「アメリカとイギリスがイエメン駐在の大使館の閉鎖を同時発表したのは、両国が現地でテロ取締りを強化するシグナルである」としています。
アメリカとイギリスが、イエメンでテロ取締りを強化する背景には、ここ数年、イエメンで一連のテロ事件が発生したことにあります。昨年12月17日と24日、イエメン軍当局はアメリカの支援のもとで、イエメンの中部と首都・サヌア地域に潜んでいたアルカイダの基地を襲撃し、武装メンバー60人を殺害しました。アルカイダはその後、これに対して報復すると宣言しました。クリスマスの12月25日、ナイジェリアの青年、アブドル・ムタラブ容疑者がアメリカの航空会社の旅客機に乗りこみ、着陸する前の20分前に、体につけた爆弾で飛行機を爆破しようとしたところ、失敗しました。アメリカの安全部門によりますと、アブドル・ムタラブ容疑者はイエメンのアルカイダの基地で訓練を受けたことがあります。アルカイダ系組織「アラビア半島のアルカイダ」は、このクリスマス米旅客機爆破未遂事件で犯行声明を出しました。1月3日、アメリカ大統領の国土安全・テロ取締り部門の顧問であるジョンブレナン氏が、「関連情報によってアルカイダがイエメンでテロ襲撃を計画しているんだ」と発表しました。
アメリカとイギリスがイエメンでテロ取締り活動を強化するもう一つの理由があります。それは、イエメンはアルカイダの拠点の一つです。2000年10月、アルカイダ発動のテロ事件でアメリカ兵17人が死亡しました。また、2007年7月、自爆テロでスペイン人観光客7人が死亡しました。また、2008年9月、アルカイダは、イエメン駐在アメリカ大使館を襲撃し、イエメン市民16人が死亡しました。アルカイダはこれまでに、イエメンにある外国人や施設をターゲットにしてテロ事件を起こしました。クリスマス米旅客機爆破未遂事件を捜査し、イエメンのアルカイダ支部でもアメリカ本土で、テロ事件を発動する力を持つようになったことが分かりました。こういったことからアメリカはイエメンでテロ取締りの強化を決意しました。
しかし、国際問題の専門家によりますと、現在、アメリカはイラクとアフガニスタンの軍事活動から手を引くことができないため、イエメンに直接に部隊を派遣することは出来ません。その代わりにイエメン政府に協力して軍事支援などを行っています。アメリカのオバマ大統領は2日、「現在、緊急の課題はイエメン政府に協力して、イエメンの安全部隊を訓練し、装備と情報を提供することだ」と強調しました。ロイター通信によりますと、イギリスのブラウン首相は、関係国の高官と会合し、テロリズムを取り締まる新しい方法を討議しました。(担当:任春生 チェッカー:村田)
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