黄山にいた間は、小雨が降り続いて、肌寒く、体がずっと縮んでいたようでした。高速バスに乗って杭州へ向かうにつれ、空気が段々暖かくなり、3時間後に到着した杭州は晴れ、やっと上着を脱ぐことができて、いきなり身軽になりました。
ホテルの所在地・梅家塢は、西湖龍井(ロンジン)の主な産地の1つとして知られています。実は、龍井(ロンジン)茶には、西湖龍井、銭塘龍井、越州龍井の三種類がありますが、中でも、西湖龍井が一番有名です。西湖龍井の産地は、西湖周辺の半径168キロ以内の地域と厳密に定めれています。この梅家塢も、もちろんその範囲内にあります。もうすぐ正真正銘の西湖龍井が飲めると思うと、なんとなくうきうきしてきました。
梅家塢の茶畑
杭州西駅からタクシーで南の方にある梅家塢へ向かうと、道の両側に一面の茶畑が遠くの小高い山まで延々と続いているのが見えます。さすが西湖龍井の名産地だなぁと思っていたら、車はいつの間にかひどい渋滞に巻き込まれていました。こんなところにも都会の喧騒な空気が押し寄せてきて、妙に親しみを感じました。「日曜日だから、新茶を買い求める客があちこちから集まってきているんだよ」と、運転手さんが言いました。
梅家塢の町
道の両側には、茶館、茶売店、レストランがずらりと立ち並び、その裏側は山まで続く茶畑です。畑には、茶摘みの人がぽつりぽつりと見えます。店の前に立つ「新茶上市」(新茶あり)の看板が特に目を引きました。パラソルの下に置かれたテーブルを囲んで、お喋りしながら新茶を飲む人が大勢います。泊まっている車をよく見ると、ベンツ、BMWなど高級車ばかり。実は、観光客の主力は「新杭州人」と呼ばれる人達だそうです。つまり、出身地は杭州ではないが、長年ここで仕事をし、すでに家を買って戸籍も取っているため、「新杭州人」と呼ばれる人たちです。お金持ちが多く、新茶の出始めの頃、家族揃って話題の新茶を買いに来るのです。
あの小雨の中の、静寂で隠者が住みそうな黄山は、もう遠い昔。青空の下、高級車の行列の傍ら、香ばしい西湖龍井を楽しむ都会の人々。これが、杭州の最初のイメージでした。(文章:陳博)
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