【観察眼】618のセールから見る中国の若者の消費行動の変化 それは実質的なアップグレードだ

2024-06-12 14:01:50  CRI

 年に1度の618ショッピングフェスティバルが盛り上がる中で、若者の消費動向が再び市場の注目の的となっている。今年の618からは、若者の消費価値観の変化を知ることができる。

 近年、若者の消費価値観は変化を続けており、ただ盲目的に流行に乗るのではない、より理性的で個性的な消費行動が目立つようになった。彼らが追求するのは、自己を喜ばせ、自己を充実させ、自己を高める消費方式である。「流行に乗れば何でも売れる」という状況からの転換を、消費のダウングレードだとする見方もあるが、これは実際には消費のアップグレードと言える。

 まず、若者の消費行動はより個性的で感情的な価値を重視するものになっている。無闇にブランド品を求めるのではなく、自分の個性やセンスを表現できる商品を選ぶ傾向にある。例えば、都市部の若者たちはキャンプやサイクリング、ペットと戯れるなどの「リラックスしたライフスタイル」でストレスの解消を求める。また、映像・音声・ゲームなどリラックゼーションをもたらす商品も若者の間で人気を集めている。ブランド品を購入するにしても、単にブランドのネームバリューを求めるのではなく、商品のデザインや品質、ストーリーを重視するようになった。

 次に、若者の消費行動はより多様化が進んでいる。彼らの興味は食品からスマート家電まで、幅広く広がり続けている。今年の618のセールでは、開始からわずか4時間で、家電や雑貨など700を超えるブランドの新製品の成約が前年同期比100%以上増加し、薄型はめ込み式洗濯機、はめ込み式スマート食器洗い機、外気送風エアコンシステム、ミニLEDテレビ、静音スマートトイレ、エルゴノミクスチェア、ロボット掃除機、夏用の冷感布団、チタン鍋といったトレンド商品の成約額が前年同期比50%以上増加した。また、国産ブランド「美的(Midea)」のエアコンと電気炊飯器、「富安娜(FUANNA)」の夏用布団などの人気商品の成約額は前年同期比100%以上増加した。

 さらに、若者の消費行動は質やコストパフォーマンスを重視する傾向が高まっている。彼らはコストパフォーマンスを重視し、同じ価格でもブランド、品質、または提供される付加サービスを比較して選び取るようになっている。こうした理性的な消費価値観は、若者の消費に対する思慮深さを示すとともに、市場の健全な発展を後押ししている。環境保護意識の高まりも、若者の中古市場や循環経済への参加意識を促している。彼らは中古品を購入したり、レンタルサービスを利用したりすることで、無駄を減らし、資源の持続可能な利用にも貢献している。

 このほか、若者の関心は、伝統文化と現代的思考の融合にも向いている。90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)の多くは、子どもの頃からさまざまな美術や音楽に関する教育を受けており、海外旅行や留学の影響もあって美意識が高度化している。外国文化を迷信するのではなく、伝統文化を見直すようになり、現代的思考と伝統文化を融合させた製品の創造が行われている。今回の618ショッピングフェスティバルでは、天猫(Tモール)に出店している「美的(Midea)」「ハイアール」「茅台(マオタイ)」「シャオミ」「五糧液」「ファーウェイ」「格力(グリー)」「源氏木語(YESWOOD)」などの国産ブランドが“10億クラブ”入りを果たした。また、京東商城(JD.com)のセール開始後4時間のデータによると、漢服ブランドが爆発的な人気を持続し、漢服ブランド「十三余」と「製造司」の成約額はいずれも5倍以上増加した。一部の国産メイクアップスキンケアブランドの成約額は前年同期比350%超増加した。ベビーゴールドアクセサリー、真珠ペンダント、沈香(ジンコウ)などの商品の成約額は前年同期比100%以上増加し、一部のブランドの成約額は前年同期比200%を超えた。

 総じて言えば、若者の消費価値観は前向きに変化しつつある。彼らは盲目的に物質消費を追求するのではなく、消費の感情的価値、個性的な表現、品質のコストパフォーマンスをより重視するようになった。同時に、彼らは消費分野を拡大し続け、伝統文化と現代的思考の融合を試み、より多元的で豊かな消費行動を示している。(CRI評論員)

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