北京
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キーワード①
【世界杯】(shìjiè bēi)[固]ワールドカップ.
文字通り、「ワールドカップ」の意味です。2018年のワールドカップが15日にロシアで開幕、サッカーファンの多い中国では、観戦などで賑わいを見せています。
以前は、中継を見るために、わざわざ有給休暇まで取る人もいましたが、今年は例年のような騒ぎを見かけません。とは言っても、主に夜に営業する「バー」や「串焼きのお店」などでは、開幕前から今回のワールドカップに出場するチームの国旗が飾られているのが見かけられます。コアなファンの人たちは、こうしたお店でビールを飲んだり、串焼きを食べたりしながら観戦するのはもちろん、家でも夜中の中継に張り付いている人もいるということです。そんなこともあってか、スーパーではビールやおつまみの売れゆきもよくなっているようです。
また、それだけではいてもたってもいられないということで、現地まで応援に行っている人もいます。今回は残念ながら中国チームは参戦していませんが、地理的にロシアに近いことや、観戦者を対象にしたノービザ政策が発表されたこともあって、現地に観戦に出かける人が10万人もいるそうです。ある旅行会社の統計では、昨年同期と比べて、ロシアへ行く中国人が4倍増、中国−モスクワ線だけ見ると10倍増にもなっているそうなのです。また、観戦チケット購入者について見ると、中国のサッカーファンが約4万枚のチケットを購入していて、イギリスのファンよりも8000枚も多いと言われています。中国の4万よりも、イギリスの3万2千の方が驚きな感じもしますが、どうでしょうか。
また今回は、中国のスポンサー企業も多くなっていて、米国と肩を並べるようになっているようです。8年前のアフリカ大会、そして、4年前のブラジル大会では、中国からのスポンサーはなんと1社だけでしたが、今回は、万達(Wanda/ホテル・不動産・エンタメ)、蒙牛(MonMilk/乳業)、海信(ハイセンス/電気)、VIVO(スマホ)、雅迪(ヤディア/電気自転車)、帝牌(Diking/紳士服)、指点芸境(VR、映画館)などの企業がスポンサーとして名を連ねています。ちなみに、この7社のうち、万達グループはFIFAの公式パートナーで、ほかの6社は地域サポーターだということです。
多くのネット利用者は、中国チーム以外はみんなロシアに行っていると意地悪に話しています。中国チームにも、ぜひ頑張って欲しいものですね。
キーワード②
【618】(Liù Yāo Bā)[名]6月18日.
見ての通り6月18日を指したものです。中国のeコマース大手京東(JD.com)が1998年6月18日に創立されたことを受けて、毎年のこの日にはJD.comの創立記念バーゲンセールが行われます。その結果、この「618」は皆さんもご存知の「双十一」とも似たような規模のネットショッピングの大セールの代名詞になっています。
JD.comは、去年の6月18日に「无界零售」(ボーダレス・リテール)のコンセプトを打ち出しました。これは、小売業自体を変えるのではなく、小売業のインフラを変えて行こうという考えを表現したもので、発表後、かなりの注目を浴びることになりました。
JD.comは、このコンセプトのもとに、搬送用ドローン、無人車、AR化粧鏡、スクリーンを見ながらのショッピング形式、無人コンビニ、無人コンテナ、全自動写真合成プログラムなどの開発に力を注いできました。これが全部実現した日には、小売業の業態や物流が全部変わることになるというものです。JDが小売業の代表としてそう言ったチャレンジをしていくことは、非常に意義のあるだと思いますし、世の中からも様々な可能性を示す試みとして捉えられており、何より、未来の小売業の姿を目で見ることのできる動きとして、注目される動きとなっています。
ちなみに、今年の「618」では、搬送用ドローンによる北京市内の配送ルートが開通されたと報道されており、無人輸送車も北京の中関村地区と上地地区で宅配サービスをスタートしているようです。他にも、JD.comは、今年、オフラインの店舗との協力を始めています。その結果、協力各社の6月1日から16日までの売り上げは前年同期比120%から700%増という驚きの伸びを見せました。協力企業の中にはウォルマートやジャスコのような大手小売商もあり、これはオンラインとオフラインがうまく手を結んだ例として捉えていいのではないかと思います。
さて、気になるのは様々な記録です。18日零時現在、家電製品が8分間で20億元、携帯電話が8秒で1万台、全体売り上げが30秒で1億元を超えたと言います。書籍などは、1時間で30万冊を売り上げたということです。これは中国でも驚きの数字です。おそらく衝動買いの人々や、半年くらいカートに貯め込んで居た人が一気に決済した結果ではないかと思われます。
国土が広く、インフラの整備が困難な地域の多い中国では、こうした思い切った施策によって一気に局面を変える荒技が多く見られます。他の国では規制ばかりが先に立つことが多いようですが、是非とも時代にあった施策を通して世界がもっともっとボーダレス化されることを期待せずにはいられません。