【観察眼】腐敗を蹴り飛ばせ 中国男子サッカー再注目の理由

2024-01-16 15:15:33  CRI

 中国では最近、サッカーの話題がしばしばトレンド入りしている。

 その理由の一つが、12日から始まったアジアカップカタール大会だ。中国代表チームの初戦のパフォーマンスや、オフサイドによるゴール取り消し判定をめぐり、サッカーファンたちの議論がSNSのトレンドランキングの上位に入った。

 もう一つの理由、そして最大の理由が、中国の主要テレビで先週放送された汚職・腐敗撲滅に関する特別番組である。中国の党と政府が過去一年に摘発したサッカー業界の一連の汚職事件について、その詳細を明らかにした番組は広く注目を集め、視聴率は同じ時間帯に放送された人気ドラマの最終話をも上回った。

 この番組が注目された理由には二つの側面がある。一つは“サッカー”、厳密にいえば、“中国男子サッカー”という問題だらけで長らく非難を浴び続けてきたスポーツだ。サッカーファンを含む多くの中国人は、この番組を通じて中国サッカーの問題の本質を理解し、不正に手を染めた者たちがどのように低迷中の中国サッカーをどん底に突き落とそうとしているのかを見極めようとしている。

 もう一つの理由は“汚職・腐敗撲滅”への注目にある。視聴者は、汚職調査がどのように進められているのか、そして、中国サッカー協会の党委員会書記、会長、代表監督といったサッカー業界の指導層に対する調査が、どの程度の深さと力で行われているのかを知りたがっている。

 同番組は人々の関心や疑問に応えるものだった。番組では、党と政府の監察機関による調査プロセスと成果が紹介され、国家スポーツ総局、中国サッカー協会、中国男子代表チーム、プロサッカーである中国スーパーリーグの運営会社やクラブなど、多くの部門における一連の汚職事件の詳細が暴かれた。また、中国サッカー界で長年行われてきた八百長や不正な判定などの問題の背後に、贈収賄などの違法行為があることも明らかにされた。

 汚職・腐敗撲滅をテーマにした特別番組は今年が初めてではない。実は2014年以降、ほぼ毎年、同じテーマの番組が放送され、政府や企業の高級幹部を含むさまざまな業界、レベルの汚職・腐敗事件を紹介している。番組では個々の事例を通じて、中国が「トラ(汚職をした高官)」から「ハエ(汚職をした末端の幹部)」に至るまで、すべてを取り締まり、厳しく処罰する決意と行動力を示している。

 中国の各年代別の代表チームは、過去10回以上連続で国際大会への出場を逃してきた。そして、今月13日のアジアカップ初戦、中国代表チームは世界ランキングが約30位も下のタジキスタンに対して苦しい試合を繰り広げ、結局、0対0の引き分けに終わった。汚職とそこから生まれた諸問題が、この結果を招いた要因の一つとされている。

 中国サッカー界で起きた混乱、停滞、そして後退は、サッカー以外の分野でも起こりうる問題だ。汚職や腐敗を放置してはならない。これはどの分野にも共通するルールだ。

 これについて、中国の党と政府ははっきりとした認識を持っている。懲罰による抑止、制度による規制、意識改革の促進などを通じて、「汚職に近づかない、汚職ができない、汚職を望まない」体制づくりを推進し、成果を上げてきた。

 今回の特別番組が放送された後、ネットユーザーたちからは「今回の汚職撲滅活動が中国サッカー界の不正を一掃し、人々が汚れのないサッカーを楽しめるようになることを期待する」「汚職取り締まりを根気強く続け、抜け道をふさぎ、汚職にわずかな余地も残さないようにしてほしい」といったコメントが寄せられている。国民全体の願いでもある。(CMG日本語部論説員)

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