中国と中日関係のいまを知るための対話(番外編)~中国と日本、目指すべき関係作り

2022-12-06 17:27:54  CRI

 中国では今後5年、ひいてはさらに長い期間にわたる国の重要方針を決める中国共産党第20回全国代表大会がこの秋に開催されました。中国と日本は、今後どのような関係を目指すべきか。それに向けて今、求められていることは何か。中日両国の学者、有識者が参加したパネルディスカッション「中国と中日関係のいまを知るための対話」で議論された内容を抜粋してお届けします。

◆北京大学経済学院・汪 婉特任教授
 中日関係、協力以外の選択肢はない
 

 中日国交正常化からの50年の間に、中日関係は多くの困難を経験しましたが、全体的に平和・協力・発展を維持してきました。その成果は両国民に恩恵をもたらしただけでなく、アジア、ひいては世界の平和と繁栄にも貢献してきました。真の平和と友好関係を築くことは、1972年の中日共同声明が原点です。
 これからの中日関係も、協力以外の選択肢はありませんし、両国国民間の相互理解を促進する努力を行う事が大切です。その中でも特に重要なのは、将来に向け青少年交流を計画的に行う事です。若者を中心に、より幅広い範囲での相互対話、交流を進めてゆくことが大切だと考えます。

◆清華大学国際関係学部・劉江永教授
 共同の安全保障で世界へ貢献しよう
 

 中日関係を短期的にみると、衝突あるいは戦争になりかねないような構造的矛盾があり、私の目には「非常に危ない」とさら映っています。そのため、共同の安全保障を追求し、友好的な国際環境を作るべきだと思っています。

 伝統的な安全保障に加えて、パンデミック、欧州の戦争、気候変動など非伝統的な安全保障もあります。中国と日本は共に協力して、そうした挑戦に対応し、世界に貢献していく必要があると思います。

◆中国社会科学院日本研究所・張季風研究員
 中日間の経済協力の継続に期待したい
  

 第20回党大会以降の中国経済については、ぜひ日本から引き続き協力をしていただきたい。中日が手を組んでやりましょう。相互理解のある、建設的かつ安定的な関係を実現するためには、中国政府には引き続き中日関係の改善方針を維持していくことを、日本政府には独自性と国益を中心にした意思決定に期待します。日本の企業に対しては、米国を手本に、自社利益に基づいて躊躇せずに判断してほしいです。迅速に対応しないとチャンスは失われてしまう恐れがあるからです。

◆上海国際問題研究院・蔡 亮研究員
 平和、発展、協力とウィンウィンがキーワード

 キーワードは平和、発展、協力とウィンウィンです。中国としては、あくまでも平和共存五原則を踏まえ、日本との友好協力を発展させ、新時代の要求にふさわしい両国関係の構築を推し進めるべきだと思っております。

◆上海市日本学会・呉寄南名誉会長(オブザーバー参加)
 ゼロサムゲーム的思考からの脱却を
 

 日本のマスメディアは、対米依存のゼロサムゲームの思考回路から脱却する必要があると思います。本日のような知的交流を今後もぜひ引き続き行ってほしいです。

◆横浜国立大学・村田忠禧名誉教授
 日中友好は最大の安全保障 「以民促官」をもう一度
 

 歴史的に見て、新中国が成立した後、中国は米国とソ連の両方から封じ込められるような時期があり、大変苦労したことがあります。でも、中国はそこでへこたれたことはないわけです。今は中国に対して、米国が中心になって封じ込めをしようとしていますが、その時に比べて、遥かに力関係が違うわけです。だからデカップリングというのは一時的なもので、必ず失敗に終わると思います。日本は積極的に中国と関係を持つこと。それが日本の安全保障だと思います。

 実は私はいま、『周恩来伝記』という中国の本を翻訳しているところですが、その中に、「民を以て官を促す」という日中関係を実現するための中国の戦略的な考え方が書かれています。今の日中関係を改善するためには、民間交流を積極的にやり、相互理解のための対話や講座を開いていくことが本当に重要だと思っております。
◆元共同通信客員論説委員・岡田充氏
 等身大の中国をみつめよう  若い世代に期待をかけてほしい
 

 「民を以て官を促す」に賛成ですが、同時に「官」も動かさないと日中関係は良くならないと思います。まずは官同士で信頼醸成を促進すること。もう一つはメディアの認識を含めて、固定観念から中国をみることをやめて、等身大の中国を見よう、というのが私の提言です。

 日中関係については、短期的にはあまり楽観材料はありませんが、日本内閣府の世論調査では、中国に親近感を感じる日本人の割合は全体では20%台に過ぎませんが、18~28歳の回答者では、なんと43%と平均の2倍です。日本の若者に期待をかけてください。これが一つ。もう一つは、経済的に衰退していく日本経済にとって、中国との共存協力をなくしては、多分未来図は描けないだろうと思います。以上の2点から見て、私も「長期楽観」という皆さんの意見に同感です。

◆上海交通大学人文学院・石田隆至副研究員
 対立よりも学び合いの両国関係を目指せ
 

 いまは情報が溢れて、嘘の情報も多い時代ですから、イメージではなく、具体的に事実を知ることが非常に大事だと感じています。今、日本では「中国は異質な存在だ」とやたらと言われていますが、実際には中国と日本、あるいは中国と世界との共通点の方が多く、どこが異質なのかということを考えなければいけません。ですから、対立するより、学び合う日中関係を目指していきたいと思います。

◆沖縄国際大学沖縄経済環境研究所 泉川 友樹特別研究員
 壁をなくすために一緒に努力しよう

 国交正常化50年の間に、日本と中国の間には架け橋となる人達がいっぱいいて、橋ができたように思います。しかし、橋はできたけど、その先にずっと壁があるという感じがしています。いろんな意味の壁だと思います。これからは橋をかけるだけではなく、お互いの理解を進めて、壁をなくしていくということを日本と中国で一緒にやろうと提案したいです。

(整理:王小燕 校正:CK)

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