中国と中日関係のいまを知るための対話(後編)~党大会後の中国と世界&中国と日本

2022-11-30 21:33:38  CRI

 中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/ CMG)日本語放送が11月11日に、「中国と中日関係の今を知るための対話」と題したパネルディスカッションを行いました。そこで議論された内容を前編と後編に分けてお届けします。後編は、党大会後の中国と世界、そして日本との関係にフォーカスします。

 

モデレーター:王小燕

パネリスト:
(日本)

   村田 忠禧(横浜国立大学名誉教授)
   岡田 充(元共同通信客員論説委員)
   泉川 友樹(沖縄国際大学沖縄経済環境研究所特別研究員)
   石田 隆至(上海交通大学人文学院副研究員)

 (中国)
   劉江永(清華大学国際関係学部教授)
   汪 婉(北京大学経済学院特任教授)
   張季風(中国社会科学院日本研究所元副所長)
   蔡 亮(上海国際問題研究院研究員)
   呉寄南(上海市日本学会名誉会長/オブザーバー参加)

◆北京大学経済学院・汪 婉特任教授

    「リカップリング」の動きにも 
     変わらぬ中日経済の相互依存関係

 中国は今後世界とどう付き合うか、日本とどう付き合うかについては、私は、習近平国家主席がすでに明確な回答を出したように思います。習主席は、「中国式の現代化」という新しい道のりを歩む際に、「全人類の共同の価値観を広げなければならない。共に天下の大きな道を歩むことで、各国はお互いにわかり合い、世界の美しい未来を共に創造できる」、そして、「中国の開放の扉はますます広がり、我々は揺らぐことなく改革開放を全面的に深化し、質の高い発展を推進していく」と全世界に表明しました。

 問題は、米国をはじめとした西側諸国がこれをどう理解し、受け止めるかにあると思います。バイデン大統領は就任からまもなくして、「米国の最大の競争相手である中国による、米国の繁栄、安全保障、民主的価値に対する挑戦に直接立ち向かう」と明言しました。名目 GDPが2020 年に米国の 7 割に達した中国を脅威ととらえる米国の認識は、短期的には変わらないと思われます。 日本の新聞報道や専門家の分析によれば、バイデン政権は米中の長期的な対抗関係に勝利するために、そのパートナーとして日本を最も重要な存在として認識しており、日本は「対中対抗時代の最前線国家」となることが期待されています。

 しかし、ここでぜひ注目していただきたいのは、日本企業の声です。シンクタンク「アジア・パシフ ィック・イニシアティブ(API)」が、「日本の経済安全保障上、重要かつ敏感な日本企業 100 社」を対象に行ったアンケート調査から分かるのは、「米中対立の背景下においても、それぞれとの関係をできるだけ安定させる外交」と、「国家安全保障と自由な経済活動の双方を両立させる経済安全保障政策と産業政策」といった、バランスの取れた政策を日本企業が日本政府に求めているということです。

 日本の産業界は、「日本も米国も、中国との間での経済安全保障政策による部分的・選択的デカッブリングが進行するだろう」と判断しています。しかし、輸出拠点としての中国の重要性が相対的に低下するものの、中国の産業基盤は厚く、巨大な国内市場を抱えていることから、全面的デカッブリングには至らず、むしろ「リカップリング」が図られているとも指摘されています。

 中国はいま世界140以上の国と地域にとって、最大の貿易相手国であり、世界経済に対する年間平均寄与率は30%近くに達しています。2021年の中日貿易総額は前年比17.1%増の3714億ドルでした。2011年以来10年ぶりに過去最高を更新しました。以上のデータからも分かるように、中国と日本との経済の相互依存関係は非常に深く、離れられない関係にあることをここで指摘したいです。

◆中国社会科学院日本研究所・張季風元副所長

     中国経済のファンダメンタルズは変わっていない
     日本企業にチャンスをつかんでほしい

 中日経済のデカップリングはありえないという汪婉先生のご指摘に私も賛同します。

 まず、ここで米電気自動車(EV)大手のテスラ(Tesla)社の例を挙げたいです。テスラは、中米貿易戦が一番熾烈な時に、上海にギガファクトリーを立ち上げました。同社の発表によりますと、2021年にテスラの中国での収益は対前年比107%の138.44億ドルとなり、中国市場が全世界の約26%を占めるようになっています。そして、上海ギガファクトリーの生産台数は全社の5割以上を占めています。

 一方、日本企業の中国での投資収益率は15%に上り、世界平均の8%よりはるかに高いものの、日本からの投資は最近、中国であまり伸びていません。財政・金融協力も停滞傾向にあり、第三国市場での提携も足どりが重くなっています。全般的には、中日間の投資・貿易は軟調から抜け出していません

 次に、日本以外の外国と中国との貿易・投資についてです。「デカップリング」を声高に唱えている米国は、対中貿易と対中投資のいずれも上昇しています。2022年1~10月に中日貿易は昨年同期比1.6%減の3000億ドルに止まっているの対し、中米貿易は5.7%増の6398.3億ドルになっています。なかでも韓国は、今年1~10月の対中貿易が4.8%増の3063.5億ドルで、同時期の中日貿易より63.5億ドル上回っています。ちなみに、韓国のGDPは日本の3分の1に過ぎません。

 一方、明るい材料もあります。それは今年年初に発効したRCEPです。中国と日本が結んだ初めてのFTAで、今後の中日経済・貿易関係の発展にプラスの効果が期待されています。

 総じて言えば、私は短期的には、中日の経済・貿易関係は課題の方が機会よりも多く、楽観視できない状況にあると思っています。しかし、長期的に見ますと、中国経済は質の高い発展を遂げている最中であり、そうした中国の経済成長は両国の経済・貿易協力の根本的な原動力です。中国経済の困難は一時的なもので、高い強じん性、ポテンシャル、可能性を備えた中国経済の、好転に向かうファンダメンタルズは変わってはいません。国内外の双循環によって質の高い発展を成し遂げることが可能であり、中日の経済・貿易協力が引き続き各種困難を突破し、ウィンウィンの道に沿って前進していけると私は信じています。日本の企業に対して、ぜひチャンスをつかんでほしいと言いたいです。

◆清華大学国際関係学部・劉江永教授

     中国の発展には世界からの支援がある
     グローバル新安全保障観の実践で国際社会への貢献が期待される

 党大会報告の中の、貧困脱却に向けた中国の取り組みと収めた成果について読んでいて、ふと、ある日本の友人のことを思い出しました。私が1980年代半ばに日本留学した時の大家さんとそのご友人です。

 ある時、私が広西チワン族自治区に招かれて講義しに行った時に、地元にはまだ基礎的インフラも整備されていないヤオ族の村落があることを知り、講演料を寄付したことがお二人の耳に伝わりました。その後、北京観光に来たお二人からは、「ヤオ族の村落に送ってほしい」と思わぬことに金品が渡されました。中には、鉛筆工場勤務だった加藤さんが「村の子どもたちへのプレゼント」として用意された500本の鉛筆も含まれていました。

 これはほんの一例に過ぎず、中国が発展し、貧困脱却に向けて取り組む過程においては、心ある諸外国の民間人の方々からも多くの関心と支援を得てきたことを忘れてはならないと思います。


劉江永教授と友人の伊東教夫さん(中央)と加藤久子さん(左)(2010年9月撮影)

 さて、2022年は日中国交正常化50周年です。中日関係の研究者として、この節目となる年には、両国関係の原点を確認し、直面している試練を直視し、今後50年の中日関係が取るべき方向を考える必要があります。

 まず、両国関係にある「確実性」というと、隣国という地理的位置にあること、平和と発展が共通の利益であること、両国関係の原点が変わっていないこと、世界が依然として「2種類の社会制度が併存し、多様なモデルが競争しながら協力する」時代にあることが挙げられます。

 対して、「不確実性」として挙げられることは、パワーバランスが変わり続けていることや、中日間が今後も平和を維持できるかどうか、中国がいつ祖国を統一できるか、また、領土問題や海洋の線引き問題を適切に処理できるかどうかなどです。

 第20回党大会報告では「世界の平和と発展を促進し、人類運命共同体の構築を推進する」「中国はグローバル発展イニシアチブとグローバル安全保障イニシアチブを打ち立て、国際社会と共に実行に努めていきたい」と重ねて表明しています。「グローバル安全保障イニシアチブ」の第1条は、「共同、総合、協力、持続可能という新しいグローバル安全保障観の堅持」です。この原則は、中日間の安全保障関係においても例外ではありません

 将来の50年に向け、中日両国はグローバル新安全保障観を、両国間の最も厄介な問題や懸案課題に具体的に落とし込み、国際社会に貢献するよう務める必要があると私は思っています。

 ◆上海国際問題研究院・蔡 亮研究員

    「政凍経冷」に陥った中日関係 
     しかし経済協力のポテンシャルは依然として高い

 現時点の中日関係は「政凍経冷」の一言で総括しても過言ではないと思います。

 まず一般論では、経済関係は両国関係のバラストであり、スクリュ―であるとみなされてきましたが、近年の経済と貿易の発展は低迷したままです。2021年の二国間貿易規模は、中国商務部の統計によれば3700億ドルを上回っていましたが、平均成長率が伸び悩んでいます。それを端的に物語っているのは、2020年上期、韓国の対中貿易額が初めて日本の対中貿易額を超えたことです。また、1993から2003年まで、日本は10年連続で中国にとっての最大の貿易相手国となっていましたが、今はASEAN、EU、米国、韓国に次ぐ5位に順位を落としています。

 こうした経済関係の低迷は、政治関係の悪化による影響が非常に大きいと言えます。中米対立がエスカレートする中で、バイデン大統領は同盟国と連携し、あらゆる分野で対中包囲網を築き上げようとしています。日本はそんな米国と歩調を合わせ、半導体や最先端技術領域の対中デカップリングを行い、日本企業の対中新規投資を妨害するばかりか、日系企業の中国からの撤退を奨励する政策まで導入しました。

 また、日本メディアの中国関連報道にポジティブな内容が少ないことも、国民と企業の中国への理解に影響を及ぼしていると考えられます。3年も続いたパンデミックが中国を含む全世界の経済に大きな影響を及ぼし、中日の経済関係も当然のことながら大きな影響を受けました。人的往来の停滞が投資、貿易、観光などの幅広い分野に影響を及ぼしたことは言うまでもないです。

 その影響は、日本内閣府の世論調査や、日本の言論NPOと中国外文局の共同世論調査の結果にも表れています。いずれの調査でも、「中国に親しみを感じる」と回答した人の割合が低下の一途をたどっています。

 しかしながら、今後の中日経済協力に、私は相変わらず強い期待を抱いています。中米両国はいつかは再び平和共存の道に戻り、コロナもいつかは必ず収束します。中国経済は今後も成長が見込まれており、中日両国の経済協力にも大きなポテンシャルがあることを確信しております。

(整理:王小燕、校正:梅田謙)

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