中国政府の温家宝首相は、まもなく日本に対する公式訪問を行います。これは、中日両国のハイレベルの相互訪問が中断して5年以上経つ中で、中国指導者の初めての日本訪問です。「氷を溶かす旅」と名づけられた今回の温首相の日本訪問は、中日両国の経済交流や貿易にどのような影響をもたらすのでしょうか？

　中国商務省国際貿易経済協力研究院の徐長文教授は、「過去5年間、中日両国の貿易額は倍増し、2006年には2000億ドル余りに達した。双方は経済と貿易の分野において、日増しに関係が深まっている。しかし、ここ2、3年、中日間の貿易額の伸び幅は目立たななくなるとともに、中国の対日貿易額が対外貿易総額に占める割合は減り続けている」と述べました。

　対日貿易額が減少している原因について、徐長文教授は、「まず、政治面で見ると、小泉前首相の靖国神社参拝は、中日関係に悪影響を及ぼし、両国のハイレベルの相互訪問は5年余り中断した。これは、双方の経済と貿易に直接の影響を与えた。また、経済面において、ここ数年、両国関係の悪化を受けて、日本はアジアで中国に替わる国を探しており、中国との経済貿易協力を減らしている。これは、多くの日系企業が中国市場へ進出することに制約を与えた」と分析しています。

　温首相は、今回の日本訪問期間中に中日間の経済協力メカニズムの構築について安倍晋三首相と会談を行うことを表明しました。これについて、徐長文教授は、「両国の経済貿易関係は今後引き続き発展を遂げるだろう。両国の経済は相互補完性が強い。これは、両国の経済と貿易の発展にとって重要である。両国の人的交流が増え、特にハイレベルの相互訪問が行われることは、双方の経済と貿易の発展に大きな影響を与えるだろう」と見ています。

　中国市場で活躍している日系企業にとって、温首相の今回の訪問は、その業務展開によりよい雰囲気を作ると見られています。日本最大の航空会社である日本航空の深田信北京駐在総代表は記者のインタビューに答え、「中国トップを日本に来ていただく。それはやはり、本格的な交流、日中間の関係の再構築ができるわけですから、航空（会社）のほうもより拡大していくような話も出てくるだろう。非常に期待している。今年は、（日中）文化・スポーツ交流年、国交正常化35周年。私たちが期待している1つが、チャーター便を飛ばす計画である。この計画は大変、意欲的な面白い計画だと思う」と述べました。  

　日本の伊藤忠商事は1972年中日国交正常化後、初めて対中貿易再開を批准された大型商社です。伊藤忠グループ有限公司の桑山信雄総代表も、温首相の今回の日本訪問に大きな期待を示しています。桑山信雄総代表は、「中国進出ということは伊藤忠商事としては、最重点地域ということで、会社全体がこういう認識を持っている。今回、温家宝首相が日本に行かれて、日中関係を溶け合うというか、象徴的な」大きな案件が話し合われることを期待している。本社がやろうとしていることは、中国が今非常に関心を持っている省エネや環境、資源、水（に関する分野である）。この辺のことをキーワードとして、いろいろなことをやっている」と語りました。

（翻訳：洋）