イラク憲法起草委員会のアル・アラジ委員は7月31日、「起草委員会がイラク国民議会に申請を出し、憲法草案の成立期限を30日間延長するかどうかを討議していると述べました。アル・アラジ委員の発言から、イラク憲法草案が予定通りの8月15日までに成立できるかどうかが懸念されています。
イラク暫定政府のタラバニ大統領はこの日、予定通りに、憲法草案を成立させる重要性を改めて強調すると同時に、憲法起草委員会が予定通りに憲法草案を成立させるよう呼びかけました。その後、タラバニ大統領は関連する各方面と討議を行いました。
予定によりますと、イラク憲法起草委員会は8月1日に憲法草案を国民議会に提出し、国民議会は2週間にわたって審議を行ってからその結果を発表します。また、10月15日までにこの憲法草案の成立について、国民投票を行います。
イラク憲法起草委員会が憲法草案の成立期限を延長させることを考慮した理由は各民族、各宗派の利益を代表する憲法起草委員会のメンバーは憲法草案の内容で意見の食い違いを持っていることにあります。
イラク政府の機関紙サバハが発表した憲法草案の一部によりますと、これからのイラクが目指すのは民主連邦制共和国です。これに対して、シーア派とクルド人の代表は賛成しますが、スンニー派代表はこれがイラクの分裂をもたらすとしています。10のスンニー派団体からなる「全国対話委員会」のスポークスマンであるムトラク氏は、連邦制の内容を憲法に載せるのを先に伸ばし、今年12月に行われる総選挙の後で討議するよう要求しました。
憲法草案によりますと、イラクの国教がイスラム教であり、これは立法の根本となります。これについて、それぞれ人口の60%と20%を占めているシーア派とクルド人は異なる見方を持っています。シーア派はこれを支持していますが、クルド人はイラクが宗教国になってほしくないとしています。クルド人は、また、イスラム教の教義によって、結婚、離婚と遺産相続の面で女性の権利を奪うことにも反対しています。
石油利益分配の面で、各派代表の意見も違います。石油収入はこれから中央政府が管理するか、あるいはそのうちの一部を地方政府が管理するかについて、各派はまだ共通認識に達していません。
この状況に対して、国際アナリストは次のように分析しています。イラク憲法起草委員会のメンバーが憲法草案の内容について、違った考え方を持っていますが、アメリカの圧力の下で、憲法草案は最後の期限までに成立する可能性があります。アメリカは、「スンニー派を政治再建のプロセスに吸収して、予定通りに政治復興プロセスを完成することは、スンニー派反米・反政府武装勢力による襲撃事件を収めることにプラスになる」としています。憲法草案の成立が延期すれば、10月に行われる憲法草案に対する国民投票に影響することだけではなく、アメリカ軍がイラク戦争の泥沼に更に陥ることを意味しています。そのため、アメリカは絶えずイラク当局に圧力をかけて、予定通りに政治復興を行うよう要求しました。
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