イラク暫定政府のジャフェリ首相は18日、3日間に亘るイランに対する公式訪問を終了しました。これはイランイラク戦争終了後、初めての両国の最高レベルの外交往来です。世論は、「ジャフェリ首相の今回の訪問は、イランとイラク両国歴史的関係における一里塚である」と考えています。
隣国同士のイランとイラクは、多くの共通点を持っており、両国はシーア派が多数を占めるイスラム国家ですが、1980年両国が国境紛争によって8年間に亘る戦争を引き起こしました。この戦争で100万人の死亡者を出すという損害を蒙り、両国は敵対国となりました。イラク戦争によってフセイン政権が倒されたことに伴い、イランとイラク関係の発展に影響を及ぼす重要な障害はなくなりました。
しかし、イランにとっては、核問題ではアメリカの制裁的脅威を絶えず受けています。イランと一部のアラブ諸国の関係もずっと緊張状態にあります。したがって、イランはイラクを始め、そのアラブ諸国との関係を改善しなければなりません。安定、かつ安全な周辺環境はイランにとって極めて重要です。これはアメリカのイランを孤立させることを打破することになります。また、イランはイラク再建の大きなビジネスチャンスをも狙っています。
イラク暫定政府にとって、いかに、国内の安全情勢を改善し、テロリストの越境襲撃活動を阻止し、遅れた経済を発展させ、国民の生活レベルを向上させるかは当面の急務です。ジャファリ政府にとって、周辺諸国、とりわけイランと良好な関係を発展させることは、イラクの政治と経済発展の主要な条件で、イラクの安全情勢の改善にとって重要です。
ジャファリ首相は、イラン訪問中、両国関係を強化したいとの願いを表明しました。16日夜、イランイラク戦争にふれた際、ジャファリ首相は、イランのテレビ記者のインタビューに答え、「今回の訪問の主要任務は、両国間の誤解をなくし、両国の政治、経済分野における新たな協力をスタートさせる。」と述べました。
イランのハタミ大統領は、17日ジャファリ首相と会見した際、「ジャファリ首相のイラン訪問は、両国歴史的関係における一つの転換点である。イラクの隣国やその他のアラブ諸国はイラクの再建プロセスに積極的に参加し、イランもイラクの改革とイラクの安全、安定に援助を提供することになる。」と述べました。
ジャファリ首相のイラン訪問期間中、両国は政治、経済貿易関係を強化するため具体的な措置を講じています。両国の指導者は、政治、再建、経済、貿易及びテロ取締りなど5つの分野で合同委員会を発足することを決めました。また両国の工業・鉱産資源省は覚書に調印し、両国の工業、鉱産業面の協力を拡大することにしました。これに先立って、イラクはイランから25万トンの小麦粉を購買しました。
伝えられるところによりますと、「イランがイラクの再建を援助するため先週10億ドルを提供すると確約した。こうしたことはイランとイラク両国は協力の道を歩んでいることを物語っている」と地方メディアは報道しています。
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