イスラエル内閣は最近、東エルサレム隔離フェンスの修築速度を早める決定を下しましたが、パレスチナと世界各国はこれに対して、疑問を持っています。
イスラエル内閣が7月10日出した決定によりますと、イスラエルは9月1日前、東エルサレムの隔離フェンスを竣工させることになります。計画中の隔離フェンスは東エルサレムのパレスチナ住宅区を貫き、凡そ5万5000人のパレスチナ人を隔離フェンスの外に置き、ヨルダン川西岸住民と画定するようになります。これらのパレスチナ人は今までずっとエルサレム市政府の管轄範囲内に住んでおり、イスラエル政府が発行した長期居留証を持っています。
隔離フェンスの建設によるパレスチナ人の生活への影響を減らすため、イスラエル政府はまた、隔離フェンスをくぐる12の通路を作るとともに、公共バスでパレスチナ学生を東エルサレムの学校まで送迎し、パレスチナ人が東エルサレムの病院に通う便宜を図るなどの措置を取るよう、イスラエルの教育、医療部門に求めました。そのほか、イスラエル政府は引き続き、これらのパレスチナ人に保険や業務について社会保障を提供していくと表明しました。
イスラエル政府は、隔離フェンスを修築する目的はイスラエルの安全情勢を改善するのにあると表明しましたが、エルサレムは敏感な地域であるので、イスラエル内閣のこの修築案は安全問題だけを狙っているものではないと見られています。イスラエルのラモン無任所相は11日、「エルサレム周辺地域の隔離フェンスはヨルダン川西岸最大のユダヤ人居住地であるアドミームをイスラエル側に画定する一方、5万人ものパレスチナ人をエルサレム以外に隔離している。これによって、エルサレムはユダヤ人居住地としての性質が強まり、イスラエル事実上の首都になる」と語りました。
隔離フェンス修築案に対して、パレスチナ自治政府のアッバス議長は11日、「イスラエル政府がこの修築案を採択したのはイスラエルの安全情勢の改善にも、パレスチナ・イスラエルの平和実現にも役に立たないもので、逆に和平プロセスを妨げるものである。」と指摘したうえで、「パレスチナは隔離フェンスの修築案を終始受け入れられない」と語りました。
アラブ連合のザキスポークスマンは11日、記者のインタビューに答え、イスラエル内閣のこの修築案を非難するとともに、国際法に背くものだと指摘しました。ザキスポークスマンはその際、「イスラエルは国際社会の共同意志を無視し、平和の基礎の上に二つの国家を建設する希望を潰すつもりだ。ハーグ判決は、イスラエルの隔離フェンス修築は国際法に違反するものだと判断した一年後、イスラエルがこのような決定を下したのは非常に遺憾である」と述べました。
イスラエル訪問中の欧州連合のソラナ外交安保上級代表はこの決定を非難し、「国を保護するイスラエルの権利を認めるが、領土以外のところで隔離フェンスを修築するのは道理に合わないもので、人道的問題が起こるに違いない」と指摘しました。
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