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「任秀」

2010-12-23 13:23:47     cri    

 こうして次の日、任秀は塾の先生をやめ、その日の午後、張瑞について船に乗った。そして夜になって臨清県に着き、船は岸辺に泊まった。この日は、ほかの船も多く、船は並ぶようにして泊めてあった。そして晩飯の後やることがないので、任秀は船蔵で横になったが、なかなか眠れない。それじゃあと任秀は外に出て夜景色を眺めていたが、どうも隣の船では博打が始まったらしく、任秀には懐かしいかけ声が聞こえてくる。これに任秀は我慢できなくなり、船蔵に自分の金を取りにいったが、母の叱る声を思い出したので、金をしまい、また横になった。近くでは酒を食らった張瑞が気持ちよくいびきをかいている。任秀はしばらく横になっていたが、不意に起き上がると金を懐に入れ、こっそりと船蔵を出た後、隣の船にとび移った。そして明かりがついた船蔵に入ると、そこでは二人の男がばくちを打っていた。そこで自分にも遊ばせてくれと金を出すと、二人の男は喜び、早速三人で始めた。博打は任秀にとっては久しぶりだが、かなりの玄人の腕を持つので瞬く間にもとの感がもどってきた。こうして任秀は勝ち始めたが、そのうちにもう一人の男が船蔵に入ってきて、なんと財布を取り出し、中の百両あまりの金をこの船の主に細かい銭に替えてもらい、かけ始めた。

 一方、それまで気持ちよく寝ていた叔父の張瑞は目を覚ますと、任秀がいなく、隣の船から博打のかけ声などがする。

 「ははあん!任秀のやつ、悪い癖がはじまったか。しかし、負けると困るな」

 こう思った張瑞はさっそく隣に船に移り、かの船蔵に入ると、甥の任秀が勝ち続けているのか、その横には小銭が小山のように積んである。張瑞が黙ってみていると、当の任秀は叔父が来ていることに気づき、照れくさそうな顔して勝った多くの小銭を自分たちの船蔵に持ち帰るよう頼んだ。もちろん、張瑞はニコニコ顔でこれらの銭を船倉に持ち帰り、また博打場に来て任秀の賭けを楽しく眺めていた。そのうちに三人の男は、持ち合わせた小銭はずべて負けてしまったので、悔しくてならない。そこで自分たちのもつ銀を出して賭けを続けようといったが、任秀は、小銭でなきゃあ博打はやらないと頑張る。いつの間にかこの様子を見ていたこの船の主、自分が二百両分の小銭を持っているのでそれを換えてやると言い出したので、三人の男はぜひ頼むという。やがて船主が小銭を持ってきたので、三人の男は自分たちの持つ銀二百両を暗いところで船主に渡した。こうして博打は続き、任秀は朝までにこれら小銭をすべて巻き上げてしまった。これに三人の男は無念そうに、損した!負けたといい残したあと荷物を持って船を下りていった。

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