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蒙古族の心の歌―「長調」

2009-05-08 14:03:35     cri    

 中国北方の広々とした草原に騎馬族とも呼ばれている蒙古族が暮らしています。草原、馬、長調は蒙古族の生活にも、精神的にも欠かせない3つの宝といいます。

 草原の賜物か、それとも遊牧生活を続けてきた祖先から受け継がれたものでしょうか、蒙古族は歌に長じています。草原へ行ったことのある人は蒙古族の民謡・長調に魅了されるでしょう。長調とは蒙古語で「長い歌」という意味で、草原の魂と言われます。この長調は蒙古族の特殊な声楽芸術で、滑らかなメロディで、心にしみこんでいくように感じられ、すでに1000年余りの歴史があります。これについて、内蒙古社会科学院の研究員・満都夫さんは、「長調は大草原に暮らす遊牧民族の生活、生産方式と密接に関わっている。遊牧文化は遊牧社会の必然的な産物であり、蒙古族の音楽、特に長調は遊牧文化の代表的なものだ。その主な特徴は人と自然が一つになった点にある。これが遊牧文化で強調される美である。長調は世界でも珍しい文化形態のひとつで、自由でしかもこの上なく美しいものだ」と話しています。

 

 草原は長調のゆりかごで、長調は草原が見えてくる歌と言えます。メロディは滑らかで、音域が広く、情緒性が高く、歌詞の内容は知恵に満ち、ふるさとや親しい人、そして歴史や先祖への思いが伝わっています。

 蒙古族出身のソプラノ歌手・木蘭さんは、「長調は蒙古族の魂で、長調がなければ、民族の特徴がなくなる」と話しました。

 長調は蒙古族の血脈に流れる音楽と言われています。いつでも、どこでも、長調が聞こえてくると、それだけで、心が震えてきます。そして、長調がもつ悠大な調べには、どこなく、荒涼さをも感じられます。

 

 哈達さんの一家は先祖代々草原で暮らしています。今年68歳の彼女は長調になかなかのもので、「草原を愛しているように長調を愛唱している」と話してくれました。彼女の子供たちも長調を歌うのが好きということです。しかし、社会の発展や遊牧民の生活様式の変化に伴い、また、さまざまな娯楽が草原に流れ込んだことによって、長調が歌い継がれる環境が失われていくではないかと彼女は心配しています。

 長調は無形文化として政府から重視され、保護を受けています。2005年、長調はユネスコ・国際連合教育科学文化機関の口承および無形文化遺産の傑作に指定されました。

 現在、内蒙古自治区を始め、中国各地でますます多くの人が長調を学び、歌うようになっており、これによって、この芸術が末永く伝わっていくことでしょう。(トウエンカ)

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