「ロージとゾバン」
いつのことかわからん。ある村にロージとゾハンという二人の若者がいた。二人は幼なじみで一緒に森に芝刈りに行き、町でそれを売り、いつも助け合い、兄弟のように親しかった。
ある日、二人が芝を刈っていて小さな壷を見つけ、なんと中には銀が入っていた。そこでロージが「いまここで分けちまおう」という。
ところが、ゾバンには不意に下心が起こり、「ロージ、この銀はどこかの神さまが置いていたのかもしれないよ。どうだ。持ち帰って数日しまっておこう。そして裸麦の酒ができたときに分ければいい」という。
「それもそうだな。化け物がおいらたちを陥れるためにわざとしたかも知れないな」とロージはうなずき、壷を持ち帰り、ゾバンの家に置いておくことにした。そこでゾバンは「三日後に裸麦の酒ができるから、そのときに分けよう。取りにこいよ」といい、ロージが帰ったのを見て、壷の中の銀を隠し、代わりに腐った枝を入れ、箱にしまった。
さて、三日後にロージが銀を分け合うためゾバンの家に来ると、ゾバンが暗い顔して門のところに座っていた。
「ゾバン、どうしてんだ?そんな顔をして?お前何か損したのか?」
これにゾバン、この問いを待っていたかのように「ロージ、実はすまないことになったよ」という。
「え?なんだい?」
「いや、言いにくいんだが」
「何を水臭い。俺たちは幼なじみじゃないか。言えよ」
「そうだな・・・。実はあの壷、神さまが置いていったのか、化け物がおいていったのかどうなのかわからん。しかし、さっき見てみたら、壷の中には腐った枝しか入っていないんだ」
「ええ?本当かい?」
「ああ」
「確かに銀が入っていたのに。三日過ぎたら腐った枝に変わったのかい?おかしいなあ」とロージは首を傾げたが、何を思ったが笑ってこう言う。
「まあいいや。なかったことにしよう。さ、酒を飲ましてくれ」ということになり、二人が酒を飲んだ後ロージはゾバンの家を離れた。そして歩きながら、これはゾバンが銀を独り占めにしたいためについた嘘だと悟り、何とかしようと考えた。
さて、翌日朝、ロージは森で二匹のサルを捕まえ、なんとゾバンの息子の名前をつけた。そして毎日二匹のサルを馴らし、とんぼがえりや遊びをすることを仕込み、そのあとサルを親戚に家に預けた。その次の日にロージはゾバンの家にきて「ゾバン、俺んちのメス牛が子牛生んだので、乳がたくさん出る。お前の子供に遊びに来させろ。お菓子もたくさん買ったしよ」
これにゾバンは、自分が銀を独り占めにしたのに、ロージは何も知らんのだと思い、子供に「おじさんに家に遊びに行け」といった。
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