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出稼ぎ二世の都市生活(後半)

2013-03-25 16:33:41     cri    

 では、これら出稼ぎ二世と呼ばれる新世代の農民工たち、彼らの都市での就職や生活の現状はどうなっているのでしょうか。実は、これら新生代の農民工、彼らの都市での就職に新しい変化が現われました。その一つは「頻繁な転職」です。

 清華大学社会学科の、ある研究グループがこのほど発表した調査報告書によりますと、ここ数年、農民工の転職がより頻繁になっています。調査に参加した農民工のうち、65%は転職したことがあり、25%は半年に1回、50%近くは1年に1回転職したことがあるということです。また、農民工の転職の平均年数は2年、年齢が若ければ若いほど、転職の頻度が速いという事です。北京の飲食店や美容院、スーパーなどを見ていると、目まぐるしく従業員が、変わりますね。あれ、あの人、もういないのということはしょっちゅうありますね。

 また、もう一つの特徴は決まった職につかず、旅しながらアルバイトする農民工が増えました。日本は、いな就職氷河期と言われ、大学生の就職率も60%台を推移している。正規の就職ができず、結果的にアルバイトをしている若者は多く、ここ数年の大きな社会問題になっている。

 では、実際にこのような人生を送っている中国の新世代農民工、何さんの例を見てみましょう。

 今年23歳の何明慶さんは重慶のある田舎に生まれました。高校を卒業した何さんは、多くの同郷と同じように出稼ぎの道を歩みました。しかし、都市部で低賃金の重労働に飽き足らず、何さんは電子工場での仕事をやめてアルバイトの生活を選びました。

 旅行が大好きな何さんはチベットへの旅行に憧れています。そして、重慶からチベットまで自転車で行くことにしました。沿線の都市でアルバイトしながら旅行費用を貯める何さん、3年間かかってようやくこの夢を叶えました。

 この3年間に、何さんは皿洗いや建設現場の作業員、レストランのウェーター、様々なアルバイトを体験しました。「辛いことは辛いけど、夢を実現した達成感と比べると、いくら苦労しても構わない」と、何さんが語りました。そして、次の目標はなんと北京から香港までの旅だそうです。親の立場から言うとすぐ、「おまえ、そんなことしていて将来はどうするの!」って言いたくなるんですが、前向きに生きていくことから、新しい可能性が、きっと生まれてくると思いますね。日本では少し前までは、男性の多くは正規職員として働いて、何さんみたいな生き方は、若い女性に多かったんですが、就職難で、男性の中にも何さんのような積極的な生き方をする人も増えてきているような気もしますね。夢を追いかける達成感のある人生、何より素晴らしいものですね。

 実は、今年の春節連休が過ぎると、中国の各地で求人難が深刻になってきました。珠江デルタ地帯や長江デルタ地帯では、労働力不足が大きな問題になり、さらに全国に拡大する傾向にあります。東部の江蘇省では、数十万人の労働力不足となり、一部の工業団地では求人難のため、やむを得ず発注を一部断り、生産量を減らしています。さらに、南部の広東省では、経済が回復して雇用のニーズがどんどん拡大しています。今年の春節後は、100万人の労働力が必要だと予測されており、深センだけで20万人の労働力が不足しています。深センの農民工(農村出稼ぎ者)就職サービスセンターでは、300以上の企業の求人に対して、問い合わせする求職者は非常に少なく、ある飲食企業は数日待っても、8人しか見つかりませんでした。日本の現状とは180度違いますね。そういう状況では、働く人の流動性が高くなるのもうなづけますね。すぐ、違う職場が見つかるし、求人難ですから、働く側の立場も強いですしね。

 いま、中国では、労働力の流動性が大きく、一部の従業員は春節で里帰りしたまま、工場に戻りません。企業側もやむを得ず、さまざまな対策を講じました。例えば、年末にボーナスを半分だけ支給し、春節が明けて工場に戻ってから残りの半分を支給するなどです。それでも、一部の企業では、2割以上の職員が戻ってきませんでした。

 こんな状況の中で、求職者の賃金への期待も高くなっています。調査によりますと、いま北京市の人材市場では、賃金が3000元以上の仕事はあまり多くありません。ほとんどは2000元程度で、現実と求職者の希望にはズレがあるようです。

 働き手をあの手、この手で探している、企業の現状と、賃金の現状には大きな開きがありますね。普通、求人難なら賃金は、その度合いに応じて当然上昇するでしょうけど、この矛盾の原因はなんですか?

 専門家によりますと、今の求人難は、力仕事の出来る若手労働力の不足で、主に3つの原因がある。1、20年前に中国の出生率が急速に下降し、労働力の供給に影響を与えた。

 2、1998年から大学の学生募集が急激に拡大した結果、労働力市場で力仕事をやりたい人がさらに減少した。

 3、経済成長の結果、30年前、中国では労働力の供給が十分だったのに、今はそれほど多くの労働力を供給できなくなった。労働力集約型の産業構造がこれからも続くと、労働力不足にぶつからざるをえない」と語りました。

 力仕事を求める求人側と、そういう仕事を避けたがる、新世代に「ミスマッチ」があるわけですね。時代と環境の変化の中で、人々の中に新しい生き方や人生観を模索する動きが生まれているのでしょうね。価値観の多様化と、それを受け入れる社会、というのは、未来を切り開いていくうえで、欠かせない要素かもしれませんね。

 一方は人口ボーナスの減少による労働力不足と企業側の求人難、一方は出稼ぎ二世たち、いわゆる新生代の農民工たちの自己意識の向上と帰属意識の減少。彼らは父親の世代の旧い道を歩くのを嫌がって、自分の夢を追いかけようとしています。もちろん、現実と夢、どうもズレがあるのはしようがないんですけど、このような矛盾は中国社会で今後しばらくの間に存在し、しかも拡大していくでしょう。その解決には、個人の努力はもちろん、社会の寛容と政府の働きかけも欠かせませんね。(終わり 3月28日オンエア「イキイキ中国」より)

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