共働きが主流の中国、いま、結婚してから専業主婦になる女性がますます増えています。<チャイナライフ>、二回連続して中国の専業主婦ブームに迫ります。
イギリスの経済誌「エコノミスト」が2011年に発表したある報告書によりますと、中国では、キャリアウーマンの割合は女性全体の7割に達し、世界ナンバーワンです。しかし、中国版ツィッターのマイクロブログでこのほど行われたあるアンケート調査によると、中国でキャリアウーマンになりたい女性は38%なのに対し、専業主婦になりたい女性は40%に上ったということです。つまり、専業主婦に憧れている女性がキャリアウーマンになりたい女性を上回り、ますます増える傾向にあります。
中国では、男女平等で、女性が働くのは当然の国と思っていたので、ちょっと意外な数字ですね。どんな背景があるんでしょう。
確かに経済不況が続く中、就職氷河期にぶつかり、女性が職場で大きなプレッシャーにさらされていますね。男女差別はもちろん、結婚や育児など、男性より多くの悩みに直面していると思います。
日本でも、若い女性の意識の変化の背景には労働環境の悪化や、失業率の上昇、就職難などがあると言われています。企業に就職するよりも専業主婦という就職の形の方が、労働環境がいいという事なんでしょうね。
しかも、今回の調査によりますと、教育レベルが高ければ高いほど、仕事をやめて専業主婦になりたがっている女性の数が多いようです。これら女性の理由については、仕事上、ある程度の自己ベストを実現したので、今度は家庭に戻り、妻、もしくは母親としての成功を果したいというのです。
これはいい事ではないですか。社会の中で、仕事という形で、ある程度自己実現をして、今度は家庭に入る。一生「仕事」という選択肢しかない人たちが大多数の男性社会からみると、選択肢があるというだけでも、うらやましい状況です。それに、人生の中で、一番大事なのは「家庭、家族」だと思うので、専業主婦として、家庭を守るのは、女性にとって、とても、大きな役割だと思います。
家族の円満、そして育児の成功は多くの女性にとって、仕事の成功よりももっと重要なことです。仕事と家庭の両立、バランスよく維持するのはどうも難しいから、どちらを諦めなければならない場合、家族を選びますね。ただ、一度社会に出て、仕事の習慣や充実感を身に着けた女性が、専業主婦という形を選ぶのには、男性にはなかなかわからない、悩みは葛藤があるでしょう。
では、実際に仕事を辞めて専業主婦を選んだ女性たち、どのような思いをしてこんな選択をしたのでしょうか、二つの例をみていましょう。
例1:ある大手コンサルティング企業に勤めている万丹さんは年収50万元のホワイトカラーです。小さい頃から成績が優秀で、名門大学に入り、一流企業に就職しました。そして、30歳の若さで会社の高級管理職になった万さん、ずっと仕事に専念してとうとう結婚に遅れ、33歳を過ぎてからようやく結婚しました。万さんの旦那さんも仕事の忙しい方で、いつも世界各地へ出張に飛び回っています。料理も家事も出来ない万さんにとって、仕事と家庭の両立は大変なのです。家庭をよりよく守るため、万さんは思い切って仕事をやめて専業主婦になりました。そして、いまは毎週のように料理教室に通って、家事などを勉強し始めたのです。「せっかく一流大学で優れた教育を受けたのに、結局専業主婦になるなんて、ちょっと悔しいけど、仕事より家庭のほうはもっと大切だから、悔いのない選択だ」と万さんが伝えました。
悔いはないと言いながら、話しぶりからは仕事への思いもちょっと感じられますね。逆にいえば、それだけ、家庭での役割の強さ、必要性というのを強く自覚しているという事でしょうね。確かに、料理、子育て、家事、地域とのコミュニケーションと会社の時よりもはるかに仕事の範囲が広くマニュアルが効かない場面が多いですね。しかも子供たちを成長させるというのは、商品を売り込むよりも、はるかに時間と手間のかかる大変な仕事ですね。
喜んで専業主婦になるのではなく、家庭のためになら、何でも犠牲にできるという気持ちがよく理解できますね。では、もう一人の例をみてみましょう。
万さんと違って、今年28歳の何さんは14年前から専業主婦に憧れています。高校の時から、何さんは家政科の本をたくさん読んで、大学で家事や介護関連の部活にも参加しました。そして、大学卒業後、親の手配でお見合いし、すぐ結婚し出産しました。何さんの話では「この世に勤勉で男性に負けないほど優秀な女性は星ほど多いのに、我が家にしっかりした奥さんと母親は私しかいないよ」と自慢げに言ったのです。
いま、何さんと同じ考えを持っている若い女性は多いようですね。卒業してすぐ結婚し、結婚してから専業主婦になり、会社のために働くより、家族の世話をしたいと思う女性がますます多くなっていますね。(2月28日オンエア「イキイキ中国」より)
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