皆さんは中国で「農民工」という言葉を聞いたことがありますか。農村出稼ぎ者のことです。もともとは農作業に携わっている人ですが、中国では、農村部の余剰労働力が多いため、そうした人たちが都市部へ出稼ぎに行って、いわゆる農民工になりました。中国では、旧正月が過ぎて新しい一年を迎えました。多くの人々は故郷を離れ出稼ぎの道を歩み始めます。中国では、農村部からの出稼ぎ者は「農民工」と呼ばれますが、時代の発展と共に、これらの農民工、彼らの都市での就職や生活にどんな変化が訪れているのでしょうか。「チャイナライフ」、出稼ぎ二世と呼ばれる、新世代の農民工にスポットを当ててご紹介します。
「世界の工場」と呼ばれる中国。長い間、中国の発展は安い労働力に頼ってきました。そのうち、農村部からの出稼ぎ者、いわゆる「農民工」は重要な力です。1980年代の改革開放政策と共に、農村部の余剰労働力は大量に北京や上海などの大都会、そして沿海部に殺到し、都市の建設や国の発展に青春を捧げました。統計によりますと、いま、中国で農民工はすでに2億人を突破し、その6割が1980年代以降に生まれた人です。時代の流れに伴い、第一世代の農民工たちはだんだん年をとり、若い世代の農民工が主力になっています。そして1990年代以降に生まれた新世代の農民工が歴史の舞台に登場しました。
ちなみに、志摩さんは中国の若い世代へのイメージはいかがですか。
志摩:日本の若い世代と比べると、たくましくて、生きる力、生命力を感じますね。もっとも、その印象は女性に対しての方が強いですが。
日本では、戦後に生まれた「団塊の世代」がありますね。団塊の世代と比べ、いま日本の若い世代の特徴は何ですか。彼らが就職に対する態度はどうですか。団塊の世代と比べ、何か変わりがありますか。
志摩:私も、団塊の世代ですが、小さい頃、遠足にバナナを持っていけるのが夢でした。いつも、あれを食べたい、これがほしい、という夢がありました。働き始めると、企業になじみ、先輩に気に入られようとし、いい仕事をすることに一生懸命でした。仕事を中心に人生が回っていて、夜の飲み会も、好むと好まざるに係わらず、欠かせないものでした。
今の若い人は、あれを食べたい、これがほしいという強い欲求はありません。車さえ、ほしがらず、運転免許を取らない若者が増えてきました。仕事では、時間内で働き、会社の付き合いは最低限にという若者が、全体的には増えてきている印象です。
中国では、新世代の農民工は彼らの親の世代と違って、いくつかの特徴があります。
① ほとんどは農作業が出来ない。
彼らの一部は小さい頃から都市部へ出稼ぎに来た両親と一緒に都市に暮らし、都市で育ってきた。しかし戸籍は依然として農村にあるため、農村人口と認められます。農村離れの生活と農村人口の身分、帰属意識が薄いのです。中国の場合は、都市で働いていても、戸籍は変わらないのですね。自分の足場が、固まらないのですね。故郷への思いは親の世代より薄いし、都市の戸籍がないので、医療や、子供の教育などで、都市住民と同じ待遇も受けられないし、どちらへの帰属意識も薄いというのはわかるような気がしますね。
② 文化レベルは親の世代より高い
彼らは親の世代より視野が広い。力仕事に満足せず、職への期待が高い。これは、小さい時から、都市に住んでいて、実質は都市住民のわけですから、そうなるでしょうね。
③ 故郷のない一族
先ほども言いましたが、これら新世代の農民工たち、農村離れの生活に慣れたため、都市で就職できないと、農作業も出来ず、農村に戻れません。行くところはない。精神的なより所もない。親の世代は、戸籍がなくても、とにかく都市で働き、食べていくという事で一生懸命だったでしょうが、新世代は、いわば親の苦労を体験せずに育った世代でしょうからね。(つづく 3月28日オンエア「イキイキ中国」より)
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