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中国の住宅価格、「大型爆弾」の投下で適正に向かうか

2013-03-06 14:33:57     cri    

 3月1日、中国国務院は中古住宅の譲渡所得につき、20%の個人所得税を課税するという内容の通知を発表しました。

 「不動産市場調整業務の実施継続に関する通知」と題したその通知は、不動産市場の調整を引き続き行っていくよう求めたほか、国務院常務会議が2月20日に打ち出した不動産市場の調整をめぐる5項目の政策措置をより具体化しました。中古物件の取引には、取得時と売却時の価格差に対して、20%の個人所得税がかかる政策はその一環です。しかし、新政策の導入が果たして住宅価格の適正化に結びつくのか、民間では意見が分かれています。

 ■20%課税の発表で駆け込み買い増加

 中国の現行法規では、中古物件の売買は譲渡所得の20%か取引金額の1%を課税するとなっています。不動産価格が上昇傾向にある今の中国では、後者のほうが金額が圧倒的に少なく済むため、ほとんどの取引は取引額の1%で個人所得税を納めています。

 ただし、住宅売買が売り手市場の北京では、売り手にかかるすべての税金と費用は、全額買い手側が負担する習慣になっています。そのため、新政策の適用は実質的には、中古物件購入価格の大幅上昇を意味します。

 仮に200万元で買った物件を350万元で売るとすると、個人所得税は今までは3万5千元で済みますが、新政策が適用されるとなると、30万元にまで膨れ上がります。購入時に支払う必要のある営業税や仲介料なども入れれば、取引コストは大体70万元にも上ります。

 しかし、1日に発表されたのはあくまで国レベルの原則で、各地での実施は、地元の実情に見合った各地方政府の実施細則の制定によります。北京では、3月末までに実施時期や細則が発表されるだろうと伝えられています。

 政策が実施されることによる物件購入費の増額を避けるため、大都市を始めとする全国各地では駆け込み売買が増えています。週末から取引量が大幅に伸び、不動産業者は契約と手続きのスピードを速めて対応しています。

 ■住宅価格の適正化に役立つか 議論が続く

 市場から「大型爆弾」と評されるこの新政策が発表された背景には、昨年末から大都市を中心に、中古住宅の価格が急上昇していることが考えられます。

 北京北部の恵新里団地を例にすると、去年11月の取引価格は1平米あたり3万 8000元でしたが、今年の1月に4万 2000元に上がり、春節明けにはさらに4万 8000元にまで、わずか3カ月で30%近く上がっています。北京では中古住宅売買件数もぐんぐん伸びており、11月は1万4449件、1月には1万9561件に上り、この2年間の新記録となりました。また、新築では2月の100都市の平均価格は1月より0.8%上がり、9か月連続で上昇しています。

 こうしてバブル傾向が出てきた不動産価格を適正な範囲に抑えようというのが当局の狙いですが、新政策が果たして価格抑制につながるのか疑問視する声もあります。

 国営の新華社通信は新政策が発表された翌日(2日)、「10年間に9回不動産市場の調整をしたが、価格はその度にぐんぐん上がる」と題した記事を配信し、これまで10年の中国政府による不動産価格抑制政策と不動産価格の変化の関連性を分析し、今回の新政策の効果に疑問をほのめかしました。記事はまた、新政策の実施により、中古住宅の売買は一時的に落ち込むだろうが、長期的にみると以下の3つの結果がもたらされると分析しています。

 ① 売り手市場が続く北京では、個人所得税は買い手が負担するので、値上がりした税金は最終的に不動産価格に跳ね返り、却って価格を押し上げる恐れがある

 ② 新築住宅の売買を押し上げ、結果的にデベロッパーと政府にメリットをもたらす

 ③ 住宅の賃貸価格を押し上げる恐れもある

 また、あるオンライン調査の結果では、新政策の導入により、不動産価格は今後確実に値上がりしていくだろうと見ている人が7割にも達しています。

 不動産価格の調整策は、現在開かれている政治協商会議と全人代でも熱い議論を呼んでいます。

 「過去の調整政策はいずれも新築を対象にしていたため、中古住宅の取引のコントロールには効果がなかった。今回の政策は新築と中古に同時に手を打つことになるので、投機需要を効果的に抑制でき、住宅価格の急騰を効果的に抑制することができる」と肯定する意見もある一方、政府が市場に行政介入を行うことを批判的に見る意見も多く見られます。

 全人代代表で、中国社会科学院の程恩富さんは、「中古住宅の譲渡所得に20%課税するやり方は投機的な売買の抑制に効果があるものの、現在の住宅よりも一ランク良い家に住みたいという住み替え型の需要に影響を及ぼし、新築住宅の価格や借家の賃貸料を押し上げるなど結果的に人々の居住コストを引き上げてしまう恐れがある」と指摘しています。

 程代表は譲渡所得への個人所得税の税率を適当な水準まで引き下げることを提案しています。また、住宅価格の適正化に向けて、①完成したものの、値上がりを待って発売されない住宅に対して課税する ②商品住宅の予約販売制度の撤廃を提案しています。

 さらに、「中国の住宅価格はこれ以上上昇してはならず、大きな変動がないことを前提に、安定しつつ小幅に引き下げを図っていくことこそが今後求めるべき目標だ」と訴えています。(Yan)

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