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春節の帰省ラッシュ チケット早取りソフトが物議

2013-01-30 17:00:07     cri    

 2月10日の旧正月・春節まであと2週間を切り、1月26日には、春節帰省特別輸送"春運"が正式に始まりました。

 40日間続く今年の"春運"では、全国でのべ40億人の民族大移動が起こります。

 中国では列車のチケットは出発日の20日前から発売されますが、春節前後のチケットの発売が始まったここ1週間は、チケットのネット予約の成功率を高めてくれる「チケット早取りソフト」がネット上で熱い議論を呼んでいます。

 

  中国では2010年に列車チケットの実名制が導入される一方、鉄道省のオフィシャルサイト(12306.com)や電話でのチケットの予約・購入が可能になりました。「チケット早取りソフト」は、インターネットでチケットを買う際に、サイトへのアクセスやデータ入力を代行してチケットの予約や支払いがしやすくなるよう手助けしてくれるブラウザー組み込み式のソフトウェアのことです。

 何故こうしたソフトが生まれ、一体どこが問題視されていて、中国のどのような現実を映し出しているのでしょうか。

 ■公式サイトにアクセス殺到

 1月第3週に入ってから、中国鉄道省の公式サイト「12306.com」のアクセス量が急上昇しています。統計によると、アクセス量は1日あたり20%以上増えており、ピーク時には1秒あたり20万人がアクセスし、1日のページビュー(PV)も15億回となっています。

 例えば 1月15日は全国で695万枚の列車チケットが販売されましたが、そのうち38.2%、265万枚がネットで購入されたものです。その購入のために、この日は全部で1700万人がオフィシャルサイトにアクセスしました。人気のある路線のチケットは発売後5分か10分で、あっと言う間に売り切れてしまい、発売開始からわずか20秒で売り切れた路線もあったほどです。

 公式サイトでチケットを購入する場合、買いたい列車の発車時刻、列車番号、出発駅と到着駅、買う人の身分証明書番号などを記入する必要がありますが、入力に失敗した場合はまた最初から登録作業をやり直す必要があります。それを手で入力するとどうしても数分から10分以上の時間がかり、そのわずかの間に チケットが売り切れてしまう恐れがあります。また、予約ができたら、今度は40分以内に支払を完了する必要がありますが、あまりのアクセス量に「12306」は時々反応が遅くなり、登録できなかったり、支払いシステムの渋滞で順番がなかなか回ってこなくなったりしています。

 もしチケット早取りソフトを使えば、記入項目を事前に記入しておいて、発売開始時間の少し前にソフトを作動させれば、後は自動的にソフトがアクセスしてくれます。アクセスに失敗した場合も自動的に再登録できるため、効率を大幅にアップできます。さらに 、払い戻しがあった場合は自動的に情報をキャッチして、メールかショートメッセージで知らせてくれるという便利さです。

 「チケット早取りソフト」は パソコンやスマートフォン向け、また無料ソフト、有料ソフトなど色々あり、機能に若干違いが見られますが、目的はいずれもIT技術を生かして、行列(ネット上のバーチャルの行列ですが)に並び、いち早くチケットを買ってくれることです。

 ■ソフトの使用に賛否両論

 しかし、こうした チケット早取りソフトの是非をめぐっては様々な議論があります。特に、専門家には、安全性を懸念する声があります。

 中国鉄道科学研究員の学者朱建生さんは、「ソフトウェア自身の破壊性が最終的にチケット購入システムの安全を脅かす」と指摘しています。

 事実、これらのソフトの中には自動的にコンピューターのプログラムを書き換え、ユーザーの銀行口座関連の個人情報をハッカーに送信したり、トロイの木馬ウィルスに感染させたりしたという事例も報告されています。

 ただ、一概に批判の声ばかりでもありません。

 中国でインターネットの第三者モニタリングを行うデーターセンターDCCIの創始者・胡延平さんは、「こうしたソフトは何の法律にも違反せず、利用者に利便性を提供している。チケットがない時にはもちろん買えないし、列に並ぶ時のルールはすべて遵守している。いわゆる、市場秩序を乱しているなどというのはありもしない批判だ」と反論しています。

 ソフトウェア開発者は、「このソフトはオフィシャルサイトにアクセスする人間の行為を真似したもの。ただその頻度を5秒おきに早めただけだ。しかも、調査で分かったことは、チケット早取りソフトを使ってチケットを入手した後、ユーザーはオフィシャルサイトを訪問しなくなるから、むしろ、オフィシャルサイトは、繰り返しアクセスされ負担が過重になることを効果的に緩和することができる」と主張しています。

 ■求められるチケット配分の透明化

 中国では毎年、「春運」期間中に列車チケットの確保が難題となっていますが、その背景には大規模な人口の移動があります。2010年の第6回国勢調査では、戸籍所在地を離れて半年以上になる人口は2億6千万人に上り、2000年より81%増えていることが分かりました。この人数は今後も都市化プロセスの進展に伴って、増えていくと見られています。

 中国では旧正月の春節は家族団らんで過ごす、1年で最も重要な祝祭日とされていますから、春節にはこうした都市に出て来ている人たちの帰省でますます移動人口が増えています。例えば、北京市の場合、2069万人の常住人口に対して、2013年春節の大型連休中に出入りする旅客の人数は延べ3741万人とされています。

 営業キロ、旅客と貨物の輸送量のいずれにおいても、道路、空路、水路に較べて最も伸び幅が小さく、また、1990年-2010年、中国のGDPは20.49倍伸びたのに、鉄道の営業キロは57%しか伸びていません。対して、道路は290%、空路は445%それぞれ伸びました。帰省難の本質は、列車

 帰省難の本質は、列車チケットそのものが足りないことなので、今後も鉄道線路の整備が引き続き求められますが、買う方に限って言いますと、やはり公平性の問題につきるという指摘もあります。
分かりやすく言えば、中高年の出稼ぎ労働者に代表されるインターネットを自由に使えない人たちにも公平にチケット買うチャンスを確保することです。
 もう1つはチケット配分の透明化。チケットの販売方法には窓口販売、電話予約とネット購入などありますが、それぞれ何割ずつ、どう配分しているのか明確に公表してほしいという声があります。鉄道省関係者が内部で留保しているのではないかという懸念が払しょくされていません。
 実名制に踏み切った後も、公式ルートではなかなか買えないチケットがダフ屋を通して売られたりしており、チケットの横流しも疑われています。透明性の向上はこのような疑いを晴らし、不正行為の根絶にもつながると期待されています。


(yan)

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