5月メーデーのGW(ゴールデンウィーク)、沢山の中国人が旅行にでかけました。観光客数、消費額など、いずれも史上最高を記録しました。それにもかかわらず、旅にまつわる悩みが増えています。最も注目される問題の一つは、景勝地入場料の値上げです。
報道によりますと、5月のGWを控えて、中国では20ヶ所以上の有名な景勝地が入場料の値上げを発表しました。値上がり幅は何と20‐60%。メディアやインターネット、マイクロブログで大ヒットしました。世界範囲で見ても、中国国内の景勝地の入場料は高すぎです。国内旅行はむしろ「贅沢な旅」となりそうです。また、中国ではなんでも高くなりつつあるようで、生活コストは徐々に先進国入りしているのではないかと思われます。確かに「格差」が顕著で、一食2000元するところもあるし、2元で一食たべられるところもあります。
今回入場料の値上げはほかの業界に及ぶ恐れがあり、観光関連産業全体の値上げが懸念されています。では、中国の景勝地の入場料、本当に高いのですか?
中国では、景勝地はAから5つAまで、5つのランクに分かれています。5Aレベルは最高級で、世界遺産にランクインした世界的に有名な景勝地が多いのです。また、統計データによりますと、現在、全国(香港、マカオ、台湾を除く)で130ヵ所の5Aレベルの景勝地の入場料に対する調査結果では、
60元(日本円でおよそ800円程度)以下は27ヵ所、全体の2割。
60-100元(800―1300円)41ヵ所、全体の3割
100-200元(1300-2600円)46ヵ所、全体の35.33%
200元以上(2600円)は14ヵ所。全体の1割
最も高い1割は、湖北省武当山(太極拳の発祥地)、四川省九寨溝220元(約2650円)、安徽省黄山、湖南省の張家界などです。
こう見てみると、家族旅行なら、入場料だけは大きな支出となりますね。ところで、中国では、子供、60歳以上のお年寄り、学生は半額、軍人は半額か優遇措置があり、団体での入場料は優遇措置があります。昔、国内と国外の観光客への差別入場料があったのですが、いまはほとんどなくなりました。
でも、新しいラウンドの値上げがまもなく行われるということです。これまで公開された情報によると、4月から7月までに値上げを発表した景勝地は20ヶ所ある。例えば、河北省の趙雲廟(趙雲子龍、「三國志」を多少なりとも知っている人なら当然知らぬ人はなかろうと思いますが、関羽、張飛に並ぶ蜀の豪傑です)、江西省の井岡山(共産党を率いる中国革命の発祥地)、山東省の泰山、蓬莱閣(海上にある仏教の名山)、そして趙州橋、隆興寺など、いずれも20%以上の値上げ幅だそうです。
国家観光局が発表した2011年中国A級景勝地発展報告書によりますと、2011年、A級景勝地を訪れた観光客は25億5400万人、営業収入は2658億6000万元、そのうち、入場料による収益は1149億9000万元、営業収入の半分以上を占めました。例えば、2011年、湖南省張家界の入場料収入は営業収入全体の9割を占めたという。しかしこのほど、張家界の入場料は158元から245元に値上がりしました。フランスのルーヴル美術館の3倍よりも高いのです。
では、高額の入場料収益はどこに流れるのでしょうか。自然環境の保護は大きな目的だそうです。世界遺産に殺到する観光客は多ければ多いけど、それにもたらす被害も大きくなり、ハードルを高くすることによって、旅客数の制限につながるという。でも、お金を持っている人がスマートとは限らないと思うのですが。日本では、山が好きな方や、登山家、企業などがよびかけて、富士山の清掃活動を行っているということです。心ない人がいますけれども、がんばっている人たちがいるんです。
中国では、世界遺産30ヶ所;国家クラスの景勝地177ヶ所;国家クラスの自然保護区155ヵ所;国家クラスの森林パーク439ヶ所;世界地質パーク8ヶ所;国家クラスの地質パークが44ヵ所あります。今後の指針として、公益的な公園などは低価格、無料(市内の市民公園など)になりつつあります。文化的施設、例えば記念館、博物館などは無料の普及が拡大中という。さらに、歴史遺跡、例えば故宮や万里の長城、兵馬俑などの景勝地は公益性と営利性を両立する方針。自然保護区は「保護が第一、観光は第二」の原則を踏まえ、経済収益は自然保護に用いられると要求されています。
旅は高嶺の花ではない。総合的なコストを考えて、自分なりの旅先を選ぶのことが大切です。旅に出ることは楽しいけど、自然への配慮は十分注意すべきだと思います。一方、文化的、歴史的な景勝地はもっと公益性を重んじて、一般庶民に親しまれやすくなってほしいのです。誰でも気軽に旅に出られることを願っている!経済的にも、精神的にも!(「イキイキ中国」より)
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