浙江省を代表する観光地・千島湖から、トンネルが続く山間の高速道路を走ること4時間。中国で民間経済のもっとも盛んな地、温州の境内に入りました。
温州へ行く途中
最初に訪れたのは、温州市の楽清経済開発区。ここは、「中国一の電気の街」と呼ばれ、変圧器やスイッチなどのメーカーがひしめきあっていました。
この町にある通領科技集団(GP社)を訪ねました。とてつもなく広い事務所に通され、会長の陳伍勝さん自身が熱心に製品を紹介してくれました。
2001年に創設され、10年足らずで従業員800名以上の優良企業に成長しました。会社を育て上げた会長の陳さんは、今年の全国の民間経営者ベストテンに選ばれています。
通領社陳会長 |
主力製品は電気の漏電を守るプラグで、主として、海外にむけて輸出しています。会社の成長において、何よりも技術開発や自前の知的財産権の取得を重視していると陳会長は紹介してくれました。これまで販売した各種スイッチやコンセントについて、アメリカの特許を4件取ったほか、国内の特許29件を取得したそうです。そして、これまでの歩みの中で、何よりも誇りに思っている出来事は、2008年、アメリカの企業に特許侵害を訴えられていた裁判で、勝訴したことです。つまりこのGP社の技術の独自性が、アメリカの裁判所に認められたわけです。米の知財訴訟において、中国の企業が勝訴の判決を得たのはこれが初めてのことでした。
2008年の世界金融危機で、主として米国市場に向けて輸出していた通領科技集団も影響を受けました。陳会長の紹介によりますと、2008年の輸出額は2005年より20%減でしたが、すぐに持ち直して、2009年になると、前年同期より40%増え、輸出額は3億元(日本円では40億円ほど)に達しました。アメリカの経済がまだ全面的に回復しておらず、大部分の企業の利益が減少していることを考えると、この数字は、なかなか得がたいものだったと言えます。
陳会長は、「金融危機で市場のニーズが縮小しましたが、中国企業にとっては、危機はむしろチャンスでもあります。金融危機で人々の収入が減ったため、もっと安くものを手に入れたいと思う人が増えています。中国製品はこういうニーズに答えることができます。一方、危機が過ぎ去った後、これまで高いお金を出してものを買っていたハイエンドの消費者も、以前よりもっとコストパフォーマンスの良い製品を追い求めたくなるに違いありません。ですから、金融危機の終了後にも、中国企業にきっとまた新しいビジネスチャンスが生まれるでしょう」と前向きな態度を示しました。
さらに、今までのありふれた製品に工夫を加えて、もっと省エネで、もっと安全な製品になるよう取り組んできました。
「省エネの電球形蛍光灯でも、使用する時にもしコントロールが行われていなければ、良い省エネ効果が得られません。この点、私たちの省エネ製品は改善されています。また、普通のコンセントに、もし水をこぼしたらショートして、それに接続しているパソコンにも故障をもたらしかねません。しかし、わが社の製造した漏電(ろうでん)保護コンセントならば、水がかかっても影響がありません。これは世界初の技術なのです」、と陳会長は誇り高く話していました。(Yan)
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