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北京市民代表、ゴミ処理技術の視察で訪日

2010-02-23 18:46:30     cri    

 北京市政府の官僚、ごみ処理の専門家、市民、メディア代表からなる「ゴミ処理視察団」一行7人が2月22日、、日本に向かって出発しました。3月3日までの10日間で、東京、横浜、福岡などを訪問し、ごみ焼却場やごみ固形燃料RDFの処理現場を見学する予定です。

 この視察団に北京市政府によるごみ焼却場建設に強く反対している住民代表も含まれており、メディアやインターネット上、たいへん注目されています。

 ■ 都市化を背景にしたゴミの急増

 今回の視察団が組成されるまでのプロセスを振り返ってみましょう。

 北京市は日増しに増え続けているゴミを処理するため、2015年までに北部の昌平県阿蘇衛村で日当たり1200トンのごみを焼却できる施設を作ると発表しました。立地は別荘が立ち並ぶ高級住宅地のすぐ近くとなっています。この発表は地元住民の強い反対にあいました。

 ハンドルネーム「lvshidan」という弁護士をリーダーとしたボランティア団体が結成され、政府の発表した『環境アセスメント報告書』に対抗して、40ページにわたる『ゴミ処理提案書』を提出しました。

 今回の訪問団に市民代表のlvshidanさん(以下Lさんと言う)を取り入れた背景はここにあります。

 一方、ゴミ問題は最近、頻繁に中国で話題になっています。2月5日付けの『中国財政報』は「中国の都市化プロセスの進化と増え続けている都市ゴミ」をテーマに記事を出しました。

 それによりますと、中国の3分の2の大中都市はゴミに包囲されており、この中、1/4の都市にはすでにゴミを埋め立てる場所もありません。また、いま、世界で年間4.9億トンのゴミが出されていますが、このうち、668ある中国の都市から出されるゴミは1.5億トンを占め、しかも、その量は年率10%の割合で伸びています。

 ゴミ問題は、中国の都市化の大きなネックとされています。

 北京では、ゴミは年間8%の割合で増え続けており、現在23箇所あるゴミ処理場で、毎日の実際に処理されているゴミの量は設計容量の1.04万トンを遥かに上回って1.74万トンに達しています。このままの勢いだと、埋め立てる量を増やすしかありません。しかし、そうなれば、5年足らずで今の埋め立て地がすべて満タンになると見られています。こうしたことを背景に、北京市はごみ焼却施設の増設に踏み切りました。

 ■「ゴミ視察訪日団」で高まるゴミ処理の議論

 Lさんが参加する「ゴミ視察訪日団」の動きは北京の新聞やインターネットでたいへん注目されています。『新京報』はここ連日、シリーズ報道をしています。

 その報道によりますと、Lさんは日本で確認してみたいことを22のチェックリスとにまとめました。Lさんの話です。

 「一番の関心は、RDFと呼ばれている廃棄物を固形燃料にする技術です。日本ではRDFの処理で悪臭を放すことがないようですが、それを現場で確認してみたいです。

 また、日本の市民たちはどのようにゴミを捨てるのか、行政はどのようにゴミを回収、処理しているのか、その一連の流れを知りたいです。

 さらに、ごみ焼却場付近に住んでいる住民の方たちの話も聞きたいです。彼らは反対運動はしないのか、近くて暮らしていて、心配することはないか、また、行政の対応はどうなっているのか、知りたいことがほんとにたくさんあります。」  

 弁護士出身のLさんは、文科系の出身で、ごみ処理に関する物理的、化学的な専門知識が彼の強みではありません。そんなLさんは出発直前、自分の心がけていることをこう語りました。

 「専門的な技術は確かに、私の得意分野ではありません。私は何よりも関心を寄せている分野は、ゴミ処理にまつわる日本の立法や監督・管理体制なのです。中国にとって参考になること、導入できることなど、積極的に検討させてもらいたいです。」

 訪問団の出発前、Lさんの携帯電話がひっきりなしに鳴り止みませんでした。たくさんの人から「宿題」を出され、または励ましの言葉をかけられました。72歳の元エンジニアの左さんはごみ処理の専門家で、20数年あまりゴミ処理の現場で仕事したことがあります。左さんの伝えたいメッセージはこちらです。

 「何よりも自分の頭で考えること。紹介を聞くだけでなく、たくさん質問を出して、日本の短所を避けて、長所をしっかりと取り入れてほしいです。」

 なお、北京市政府が反対派の市民を政府の視察団に取り入れることに対して、プラスに見ている市民が多いです。ただし、中には、「わずか10日間の訪問で、実質的な収穫を得ることが無理でしょう。中国のゴミ問題はこれで根本的な解決方策が得られるとも考えられない」と懸念な目で見ている人もいます。

 今回の訪日団に対する市民たちの声をピックアップしました。

 その1)

 「反対派の市民を視察団団員に入れることは、政府が市民の声に耳を傾け、民意を真摯に受け止めていることの表れと見ています。日本で、ゴミがどこで焼却され、焼却されるまでにどのような処理を行っているのか、見てきてほしいです。そして、ゴミの分別収集やゴミの量を減らす工夫もしっかり考察してほしいですね。」

 その2)

 「何よりもダイオキシンが心配なのです。中国では、人体に残留するダイオキシン濃度の検査を受けたい場合、ごみ焼却場で勤務したことがある証明書の提示が求められ、手続きがたいへん面倒です。日本では、この検査は専門機構により行われていると聞いています。こうしたところ、中国も日本に見習うべきではないか、しっかり検討してほしいです。」

 その3)

 「政府と市民の相互信頼を高めることができると思います。ゴミ問題の解決に向けて、これからまだまだ協力しあわなければならないことがたくさんあります。ありのままに、日本ので見聞した情報を持って帰ってきてほしいですね。」

 その4)

 「ごみ焼却のコストを調べてきてほしい。たとえば、トンあたりのゴミを焼却するのに使う活性炭、石灰、アンモニア水の量です。また、ゴミ焼却に関する技術的なパラメーターもぜひ帰国後、メディアで紹介してほしいです。それから気になっている排煙の処理ですが、日本では厳しいチェックが行われていると聞いています。もし、企業が排煙処理で基準に達成できなかった場合、被害を受けた市民は損害賠償を求めることができるのか、日本のやり方を知りたいです。」

 北京をはじめ、一般市民におけるゴミ処理に対する議論がまだ続きます。(Yan)

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