北京市の中心地から北東方向へおよそ100キロ走りますと、一面の桃の果樹園が広がる平谷県に着きます。平谷は、昔から大きい桃、大桃が取れることで知られています。
「平谷大桃」は中国では名産地標識登録にしてあります。平谷には、この大桃の栽培面積が全部で1万5千ヘクタールに達し、年生産量が約3億キロに達しており、ギネスブックにも記載されているほどです。
大桃の中で一番おいしいものは、「树熟桃」です。つまり、85%熟すまで待ってから初めて幹から摘む桃のことです。これに対して、6、7部熟してから摘まれ、後は時間が経つことで熟成を待つ桃のことを「後熟桃」といいます。
「後熟桃」に比べ、「树熟桃」は、形、光沢、甘さ、食感がいずれも格別においしいです。ここ数年、平谷区は「熟成桃」の出荷を重視し、大桃の品質アップに力を入れています。具体的には、大桃の糖分を高めるため、14項目に渡る栽培技術の統一化を図ったことや、出荷の量にあわせて摘むというやり方をとったなどです。
ただし、「樹熟桃」はおいしくて消費者に重宝されている一方、桃農家がたいへん苦心しているのは、腐りやすいことです。そのため、摘まれた後、タイムリーに消費者の手に届くことが肝心です。今年7月に入ってから、平谷産の「熟成の桃」が毎日4万キロ市内の市場に供給されています。
何故それができるようになったのでしょうか。平谷区の関係者に話しを聞いてみました。そのコツは、零細農家の力をあわせて、市内のスーパーマーケットと直接契約を結ぶように販路を拡大したことです。これについて、平谷区商務局の蒋长全副局長の話です。
「タイムリーに桃を市場に出さないと、すぐに腐ってしまいます。これまで、決まった販売ルートがなかったため、せっかく摘んだ桃が出荷を待たずにして果樹園で腐ってしまうこともしばしばでした。しかし、市内のスーパーに対して直接出荷できるようになってから、出荷の量、価格、数、供給時間などを契約で規定できるお陰で、桃の販売は決まったルートでできるようになりました。」
さらに、零細農家をまとめる農業生産合作社の役割も大きかったです。引き続き、平谷区商务局蒋长全副局长の話です。
「平谷の桃の栽培面積は1万5千ヘクタールもありますが、その大部分は零細農家です。一世帯あたりの平均栽培面積は0.2~0.3ヘクタールしかありません。そのため、個々の農家単独で、スーパーと桃の供給契約を結ぶほどの量にはなりません。そのため、合作社という零細農家をまとめる組織が立ち上げられられました。今、区内に全部で35の合作社組織があり、たいへん良い効果を上げました。」
さて、合作社を作って市内の市場に切り込んだ平谷大桃に対して、市内のスーパー各社はどのような反応を示したのでしょうか。
蒋长全副局长の話では、大手スーパーグループ各社からそれぞれ数百トンの供給量で契約が結ばれており、今、供給が需要に追いつかない状態が続いているということだそうです。こうした産地とスーパーマーケットをリンクした販売ルートのお陰で、早ければ、桃が摘まれてから、わずか4時間で店頭に並べられるようになるようです。
これ以外にも、平谷は市内で、20あまりの産地直送の直営店を作りました。関係筋の話では、7月に入ってから、これらの直営店で販売された平谷の桃が、すでに500万キロに達したそうです。
ちなみに、ジューシーで水分の多い平谷の大桃は、北京の自由マーケットでは1キロ10元ほど、日本円ではおよそ150円ほどの値段で売られています。この夏に、北京を訪れる予定のある方、ぜひ買って味わってみてはいかがでしょうか。
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