風力発電。字の通り、風の力によって発電することです。地球温暖化の原因とされる温室効果ガスを大量に排出する火力発電と比べ、風力発電は温室効果ガスや汚染物質をほとんど排出しません。風力発電のこうした長所を認め、中国政府は新エネルギーの発展計画で風力エネルギーの開発を重点にしています。
中国は風力エネルギーの資源が豊富で、開発可能な量はおよそ10億キロワットに達します。この量の6割だけでも中国の年間の電力需要を満たすことができます。この大きな「資源の宝庫」を開発するため、中国政府は一連の政策を打ち出し、各地の政府と企業を支援しています。これにより、中国の風力発電の設備容量は年々増えています。とくに2005年から3年間でおよそ10倍増加し、中国はアメリカ、ドイツ、スペインについで風力発電の設備容量が1000万キロワットを超える4番目の国となりました。中国国家エネルギー局の史立山氏は、「このように倍増する勢いを保っていけば、2010年末には3000万キロワットに上るだろう」と予測しています。
風力発電が急速に発展する中で、企業が大きな役割を発揮しています。中国の風力発電大手、中国龍源電力グループは4年前、江蘇省に子会社を設け、風力発電によって沿海地域に電力を供給しています。この会社は、今年10月までに住民80万戸の1年の電気需要量を満たすことになります。龍源電力グループの黄群副社長によりますと、風力発電は明るい見通しを持っていることから、会社としては開発のスピードを上げたいということです。
「我々は今、16の省と自治区で風力発電に取り組んでいます。計画として、2010年に設備容量を600万キロワットに、2012年には300万キロワット増やして900万キロワットにしたいと思います。さらに2020年には2000万キロワットを超えるように努力していきます」(黄群副社長)
現在、20あまりの省と自治区におよそ240箇所の風力発電所があり、発電設備は1万1000基を超えています。発電所の分布も、東南部の沿海地域から西北部までいいバランスが取れています。西北部の新疆ウイグル自治区にブルキンという県があり、ここは新疆で風の最も強い地域の一つです。地元ではここ数年、風力発電に大きな力を入れており、これまでに8社の企業を誘致してきました。現在、すでに1つの大型発電所が建設され、稼動が始まりました。県の中心部からおよそ20キロ離れた山の上に、高さ60メートルで白い風車の形をした66基の風力発電機が建てられ、その光景は非常に雄大です。
風力発電の急速な発展は、設備製造など関連産業を引っ張っています。発電設備の国産化率が高まるにしたがい、価格が大幅に下がっています。国家エネルギー局の史立山氏は、中国は風力発電の設備容量を急速に増やすとともに、設備の製造でも明らかに進歩を遂げたと述べ、さらにこのように話します。
「発電設備の製造業は非常に速く成長しています。2004年のころには設備容量が最大でも600キロワットのものしか造れなかったのですが、今は1万5000キロワットから2万キロワットの設備を多く生産することができました。間もなく、3万キロワットの設備の生産が始まります」
中国は、大型風力発電設備の製造技術をほぼマスターしており、全国では設備と部品の製造に取り組む企業は数十社あり、基本的に完備した産業チェーンができています。
政府は今後2年、河北省や内蒙古自治区、遼寧省、吉林省、新疆ウイグル自治区などに、設備容量が100万キロワット規模の大型風力発電基地を10箇所以上建設するほか、1000万キロワット規模の発電基地も数箇所設置する計画です。これと同時に、海の上で発電する「洋上風力発電」の開発を加速したり、一般家庭への普及と環境への取り組みのために設備製造の技術開発を進めたりすることにしています。(翻訳:鵬)
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