中国と日本の違い

　　　　　　　　　　　　　　　　　ーー女性に対する意識の差

傅怡然

　昔、中国でも日本でも、女の人は男の影のような存在でした。男性社会の中では存在感が薄く、いつも家の奥に入っており、狭い世界の中で生活しており、まるで現実の世界に流れている時間を感じてないように生きていたという印象が強いです。

　近代では、西側文化のアジアへの影響が深まるにつれ、西側社会の「レディーファスト」、いわゆる女性優先という風習が東側に受け入れられました。細かいところまで女性を考えてくれて、女性に礼儀正しい男性が紳士だと思われています。一方、社会文明が発達したため、女性はもう昔と全然異なり、以前よりずっと広い世界で活躍しています。

　では、女性は実際の所どれくらい優先されているのでしょうか。中国と日本の女性はどのように扱われているのでしょうか。

　日本に留学したとき、「女性向け保険」という言葉を耳にしたことがあります。保険は社会福祉の大事な一環で、生命保険や障害保険などは良くあるけど、性別で保険の種類を作ったことを初めて知りました。

　女性向け保険というのは女性特有、あるいは女性に多い病気を保障し、更に長期的な先進医療保険もあります。データによると、乳ガンのほか、高血圧や白内障も女性の方がかかりやすいそうです。こういう女性を対象とする保険があれば一つの備えとして、いくらか安心できると思います。社会から女性を守るための一つと考えられるではないでしょうか。

　それに、日本のホテルは、女性専用階がよくあり、非常に優しく考えてくれているなと感心しました。サービス業の発達で知られる日本に比べ、中国ではこのような女性のためのサービスはまだまだできていません。女性向けのサービスが揃っていることは、日本社会の「レディーファスト」や女性への優しさの一つではないかと思っています。

　それに対して、中国の場合はどうでしょうか。現在の女性は、必ずしも男性と同じ社会的地位を持っているとは言えませんが、弱くて、仕事より家庭のほうがずっとふさわしいという印象もありません。中国の家庭はほとんど共働きであり、男は働き、女は主婦というふうな役割を設けられていません。たいていの家庭は、夫一人の給料で家族を扶養するのは無理なので、奥さんも働かなければなりません。もちろんその中に積極的に仕事を楽しんで自分の価値を実感する人もいるし、仕方なくて働いている人もいます。日本でも職場でちゃんと働いている女性が沢山いますが、多くの人は結婚したら仕事をやめ、家庭に専念し主婦になるのでしょう。

　今の２５歳から３５歳の人たちは競争世代とも言われ、女性も激しい競争に参加して家庭だけではなく職場でも戦っています。そして、中国の女性は何より、「平等」を求めていると私はそう思います。女性の社会での存在感が強くなることは文明の進歩の一つなので、「男女差別はしない、社会生活、政治活動などで女性は男性と同じ権利を持っている」という宣伝も頻繁に目にします。しかし大学で、ある女性の先生が授業中にこういう話をしました。その先生は博士号を取って、ある大学に応募しましたが、筆記試験は受かったのですが面接で落ちました。学歴もあり、教師としての経験も豊富なので落ちるとは思っていなかった先生は面接官に理由を聞きました。面接官は「女性の教師はあまり力がなくてたまにある力仕事ができない。」と、驚くほどいい加減な答えが返ってきました。そのとき先生は物凄く憤りを感じたのですが、どうしようもありませんでした。

　確かに大学の入学の際も、就職する際も、男性だったらチャンスが比較的多く与えられていると感じられます。いつも「平等」を求めるのは、多分そういうケースが多いからでしょう。

　本当は中国も日本も男性が社会の主導的な地位にいます。女性の地位が上がったと言っても、完全に差別をつけられていないとは言えません。ですから、このような状況で男に負けたくないと、男性との「平等」を追求する中国の女性は、日本の女性よりいささか気が強いのではないかと思います。つまり、中国の「レディーファスト」は、「男女平等、女性は家庭の管理だけではなく職場でも活躍できる」事を強調し、女性の優秀さを社会が認めることを求めているのだと私は感じます。