アメリカのカーター元大統領一行は28日正午、3日間の朝鮮訪問を終え、特別機でピョンヤンから韓国の首都ソウルに向かいました。世論は、「カーター氏一行は朝鮮の最高指導者金正日(キム・ジョンイル)総書記からの伝言は頼まれたが、金正日総書記と会うことはできなかった。また、朝鮮に拘束された米国民を連れ帰ることもできなかった。カーター氏の訪朝の成果は少なかった」と見ています。
カーター氏の訪朝に同行したのは、フィンランドのマルティ・アハティサーリ元大統領、アイルランドのロビンソン前大統領、ノルウェーのブルントラント元首相らヨーロッパの元首脳らからなる国際人道グループ「エルダーズ」のメンバーでした。ソウルに到着後、カーター氏の一行は、韓国側に朝鮮訪問についての具体的な状況を報告し、記者会見を行いました。カーター氏は、「金正日総書記とは会えなかったが、朝鮮最高人民会議常任委員会の金永南(キム・ヨンナム)委員長や朴義春(パク・ウィチュン)外相らの高官とそれぞれ会談した。朝鮮側は地域の平和を維持する意志を示し、朝鮮半島の非核化を堅持することを強調した。われわれがピョンヤンを離れる際に、金総書記は、韓国か米国と交渉する意向があると伝えてきたが、要点は2つある。その1つは、いつでもいかなる問題でも、前提条件なく、韓国か米国および6ヶ国協議のその他の関係国と、朝鮮半島の核問題について交渉するということ。その2は、李明博大統領と直接首脳会談を行う用意があるということだ」と述べました。
カーター氏の今回の訪問の成果が少なかったのは、カーター氏が金正日総書記と会談できなかったことが主な原因です。昨年8月、カーター氏は、朝鮮を訪問して、朝鮮に拘束されていたアメリカ人を連れ帰りましたが、金総書記と会談することはできませんでした。その訪朝は完全なものとは言えません。そこで、今回の訪朝で金総書記と会談することができるかどうかが世論に注目されていました。それには、象徴的な意義があります。つまり、韓国メディアが報道したように、朝鮮の要請に応じたカーター元大統領の今回の訪問は『栄誉を守る旅』だったということです。そして、より実質的な意義もあります。金総書記と会えなかったら、朝鮮半島の核問題、朝韓関係、朝米関係における朝鮮政府の真の態度およびその極限が分からないということです。もう一つの原因は、これに先立って、世論は、カーター氏が今回の訪朝で昨年11月に朝鮮に拘束されたもう一人の米国公民をアメリカの連れ帰ることができると見ていましたが、この目は実現できませんでした。カーター氏の一行は記者会見でこれにも触れませんでした。
アナリストは、「実際には、カーター元大統領の訪朝は、『エルダーズ』の一員として行われたものだ。一方、アメリカと韓国の政府もその訪問は個人的なもので、政府を代表していないことを繰り返し強調していた」と指摘しました。
カーター氏は朝鮮を訪問中に、金永南(キム・ヨンナム)委員長や朴義春(パク・ウィチュン)外相らの高官と会談したほか、ピョンヤン外国語大学や、平安南道(ピョンアンナムド)看護士学校などを視察し、ピョンヤン五一体育場で大型マジック公演を観賞しました。重要なのは、カーター氏の今回の訪問が、世界の世論を改めて朝鮮半島に集めたということです。朝鮮半島の核問題は複雑なので、いかなる形の対話や交流も、対抗と衝突より利益があります。このため、カーター氏の訪問には一定の積極的な意義があります。アメリカの元大統領として、カーター氏は「朝鮮戦争終結後、すでに60年以上経った。しかし、今になっても、平和協定に調印していない。これは時代の悲劇だ。『エルダーズ』グループの訪問は朝鮮が独立と危機から抜けだすことに役立つことを希望し、また、各国に朝鮮の発展計画を伝えることを希望する」と強調しました。
朝鮮半島の情勢は昨年の哨戒艦「天安( チョンアン)」号沈没事故と延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件からみると、現在まで、すでに緩和されてきています。この2日間、韓国も対話のシグナルを出しました。
今後、朝鮮半島の情勢がいかに発展するかは、韓朝、または朝米の政府間でいかに実質的な措置を取るかによります。朝鮮半島の核問題で実質的な進展を上げるには、6ヶ国協議の枠組の下に戻るべきでしょう。(翻訳:董燕華)
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