第3回中日ハイレベル経済対話で北京を訪れた岡田克也外相にCCTV(中国中央テレビ)がインタビューしました。取材の様子は30日夜、「CCTV-新聞」チャンネルで約25分にわたって放送されました。
聞き手はCCTVの水均益キャスターです。以下は、その概要です。
■ 中国の経済成長、日本も恩恵を受けた
——世界経済が相変わらず脆弱であることを背景に、中日間のこのようなハイレベル対話の意義は一層際立つものだとお考えでしょうか。
今回のハイレベル経済対話は、当面の問題と中長期の問題を議論しました。
当面の問題については、世界経済がまだ脆弱な情況にある中で、日中のGDPはあわせれば17%という非常に大きなシェアを占めています。両国がしっかり協力して、世界が直面している厳しい経済の情況を乗り越えていくことについて、互いに認識を共有できたことが大きいと思います。
——中国のGDPは、今年の第2四半期に日本を上回ったという報道がありました。これは、年内にも中日のGDPが逆転することを意味するかもしれません。こうした動きをどのようにご覧になりますか。
中国の経済が非常に順調に成長しているということは、日本にとってもありがたいことだと思っています。中国の人口は日本の10倍ですから、中国のGDPが日本を上回るのは時間の問題なので、とりたてて意味があるとは思いません。むしろ、中国がアメリカを抜くのも、そう遠い将来のことではないように思います。
今、中国が順調に経済成長しているということは、世界経済に対して非常に大きな良い影響を及ぼしていますし、日本もその恩恵を受けています。
——8月14日、中国日報社と日本の言論NPOが行った共同アンケート(第6回中日関係世論調査)によりますと、中国側では60.2%の市民と59.8%の学生が「中日関係が良い方向に向かって発展していくだろう」と見ており、昨年よりそれぞれ9ポイントと3.3ポイント上がりました。一方、日本では40.6%の市民と61.8%の有識者層が今後の日中関係の発展を見込んでおり、昨年よりそれぞれ9.5ポイントと11.4ポイントの伸びとなっています。このような結果に対して、岡田外相の受け止め方を教えてください。
たいへん嬉しいことですね。私は外務大臣として、鳩山総理や菅総理とともに、日中関係をもっともっと良くしたいという思いでやってきました。それが数字に表れているということなので、ほんとに嬉しいことです。
ただ、日本人の中国に対する数字は、まだ私は低いと思っています。もっともっと我々も日本国民に対して、いろんな説明もしなければならないし、そして、その結果として、日中双方の国民レベルでの理解が深まるということを、さらに前に進めたいと思っています。
■ 日中往来の2000年、主流は「非常に良い歴史」
——中日間の交流について、全体的な好感度はいくらか上がったものの、国民感情という分野では相変わらず望ましい結果が現れていません。これから、国民感情の改善に向けて、何か良いお考えがありますか。
65年前、あれだけ激しい戦争があったから、中国の国民の皆さんが日本に対して、複雑な感情を持っていることは、ある意味、当然だと思います。
日本政府として、また、我々日本人としては、過去に起こったそういった過ちについて率直に認め、そのことに対してしっかりと向き合う気持ちを忘れてはならないと思います。
被害を与えたほうは早く忘れたい。しかし、受けたほうは、それは簡単に忘れることができない。これが日中の間だけでなく、私は歴史の真実だと思います。
ただ、日中間はそういう時代も確かにありますけど、多くはやっぱり非常に良い2000年の歴史が日中間にありました。そのことも同時に指摘したいと思います。
私は北京に来る前、上海万博の日本館を訪問しました、もちろん中国館もすばらしかったですが、孫文先生を経済的に支援した梅屋庄吉の展示を見てきました。梅屋庄吉は武器とか色々なものを調達して、中国の孫文先生のところに贈っていました。伝えられたところによりますと、今の金額に直しますと、1兆円以上の支援をしたということです。彼だけでなくて、多くの日本人が当時、孫文先生を支援していました。私の母親方の祖父もその1人です。たくさんの人がそうしていました。
ご指摘の観光も、日本政府としてもビザの発行条件を緩和したので、どんどん日本に来て、日本を直接見て、日本人と直接ふれて頂きたいと思っています。もちろん、ついでにお買い物もしていただきたいと思っています(笑)。
■平和で豊かなアジアの中で日本の平和と豊かさを
——この7月、中日双方は東中国海問題の原則的な共通認識に向け、初めての政府間協議が行われ、比較的前向きな成果が得られたように思われています。中国側による「東中国海を平和、協力、友好の海にしていく」という提案について、岡田外相はどのようにご覧になっていますか。
東中国海を平和、協力、友好の海にしていこうというのは、日本側の主張でもあります。双方の共通認識です。ガス田開発の問題は、両国の首脳間ですでに合意して、そして話し合いが行われてきたものです。若干、途中でその話し合いが円滑につながらなそうな場面もありました。私は早く話し合いが進んで、早く具体化できることを心から期待しています。
——『産経新聞』はこのほど、日米が11月に発表予定の共同宣言において、中国を標的とした軍事協力の強化という内容も含まれていると報じていました。この報道は中国国内でも数多くの人の関心を引き寄せ、中日関係を害するのではとも懸念されています。本当にそのような動きがあるのでしょうか。
この点は昨日、楊潔チ外相にも説明しました。私は日米同盟というのは非常に重要であるが、同時に、日中の関係を深めていかなければならないと思っています。私は21世紀はアジアの時代であると思っています。そして、アジアの時代に、これから平和で豊かなアジアを作っていかなければならない。その平和で豊かなアジアの中で、日本自身の平和と豊かさを実現していくと、いうのが、わたしの政治家としての基本的な考え方です。そのためには、やはり日本と中国が協力してリーダーシップをとっていくと考えています。
——日本の今後の政局について、どのようにご覧になっていますか。
今度の代表選挙は菅直人総理と小沢一郎さんの二人が立候補して争います。ぜひ政策を述べ合って、良い選挙をしてもらいたいと思っています。そのことによって、新しく選ばれた総理、私は菅さんだと思っているわけですけど、その総理がより国民の支持を得て、力強い総理になると思います。選挙が終わればまた一つになって、しっかりと国民のために政治をやっていきたいと思っています。私は外務大臣ですが、外務大臣としての責任をしっかり果たして行きたいと思っています。
(王小燕整理)
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