今年に入ってから経済が回復するに伴って、沿海地域では人手不足の現象が発生しています。一部企業では、リクルートした職員の数が足らず、部分的に生産を停止しています。専門家は、これら企業は、職員の待遇アップや、生産地の移転という手段でこの問題を解決するより、安い労働力で企業を支えるというビジネスモデルの転換を図ることを余儀なくされる状態にあると見ています。
今年は年頭から、世界経済の回復で中国企業はより多くのオーダーを取付けることが出来ました。しかし、東南部の沿海では、電器製造業、機械加工業、アパレル業などを中心に熟練工の人手不足がひどくなっています。中国人力資源社会保障省の胡暁義次官は、「一部地域で見られる人手不足問題は、一時的なものだが、経済環境や、国の政策と就職に対する人々の考えなどの変化とも関係がある」としたあと、「人手不足状態は、地域的な現象であり、業界によって異なり、一時的なものだ。旧正月以降、企業の求人ニーズは去年と比べ15%も増えた。沿海地域では職員募集が難しいという現象が起きている。これは、産業構造の転換や、出稼ぎ労働者がふるさとで就職しようとする傾向が強まったからだ」と話しました。
また、若い出稼ぎ労働者が就職に対しより多くの条件を求めるようになったことも人手不足の一因です。1980年以降、あるいは90年代に生まれた新世代の出稼ぎ労働者は、よりオープン的な考えを持ち、以前より高い教育を受けています。そのため、職場の環境や労働の報酬に対しての要求も高いのです。
広西チワン族自治区からきた張亮さんはいま広東省で仕事を探しています。張さんは、理想的な収入のほかに、就職先を選ぶ大事な要素として社会福祉を挙げています。張さんは「私の目標は、少なくとも月収1800元(約24000円)で、1ヶ月に4日間くらいの休みがあって、毎日の残業は3時間を超えず、夜の9時には帰れる仕事がいい」と話しました。
中国社会科学院人口労働経済研究所の蔡昉所長は、人手不足は出稼ぎ労働者の収入増加や産業の地方への移転などを促し、ある意味で好ましい現象だとして、「積極的な見方をすれば、労働力の供給関係に変化が出たことは、出稼ぎ労働者の賃上げに繋がる。人手不足の企業が進んで給料を上げ人々を引付けようとする。異なる企業には対応力に差があるので、これは沿海地域企業のグレードアップにも繋がり、安い賃金とわずかな利益で運営されていた企業はコストの低い中西部へと移っていくしかない」と話しました。
人力資源社会保障省の統計によりますと、3月10日までに、広東省、福建省の両省では100万人近くの人手不足状態が現れ、浙江省も17%のポストが空いたままです。3月に入ってから、中国の各地では5000回を超える就職説明会が行われ、企業は人手不足状態を何とか乗り切ろうとしているのです。(訳:恂)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |