2007年末から2008年の初めに、中国山東省の青島に投資した数百社の韓国系企業が不正に撤退しました。また、2008年には中国南部の珠江デルタ地帯や東部の長江デルタ地帯など外資企業が密集する地区で、不正な撤退事件が多く起きています。
韓国輸出入銀行が去年発表した中国山東「青島地区投資企業の不正撤退現状」報告書によりますと、正常な決算を行っていないまま中国から撤退した韓国企業のうち、60%が労働集約型企業であると言うことです。これについて、中国社会科学院世界経済政治研究所国際貿易室の宋泓研究員は、「不正撤退した外資系企業の共通した特徴と言えば、いずれも規模が小さく、核心的技術がない労働集約型の加工企業である」と語りました。
投資企業の撤退は対外経済活動で異常なことではありません。海外での運営が維持できない場合、これからの経営を考慮した結果、その国から撤退するのは一般のやり方です。例えば、2008年の4月1日南京から撤退した外資系企業・フィアット社の持ち株をすべて上海自動車工業グループに売却した事例があります。
金融危機の影響を受けている今、中国から撤退する外資系企業は増えてきました。
今年4月に中国商務省が行った記者会見の席上、商務省報道官は金融危機が世界範囲に広まって以来、外国企業の中国への投資は6ヶ月連続して減ってきていることを明らかにしました。
国際金融危機の影響で、多くの外資系企業は生存のために経営規模を縮小しており、今年の外資系企業の中国投資はおよそ30%減少すると予測されています。こうした背景の下で、中国から撤退するのは止むを得ない選択です。このほか、ここ数年、経済成長と産業構造の調整によって、中国政府の環境保全意識が高まり、この面に対する規制がますます厳しくなってきました。これは労働集約型企業の生産コストを上げたのです。その上、これら企業は国際金融危機の影響を受けて、経営がますます困難な状態に陥っています。そのため、中国から撤退する外資系企業が増えてきたのです。これについて、中国社会科学院の宋泓研究員は「撤退の原因は二つ挙げられる。一つは国際金融危機の影響を受けたこと、もう一つは、中国政府の外国企業に対する政策の調整である。例えば、優遇政策が少なくなったり、環境保全での規制が厳しくなったことなどだ」と述べました。
また撤退の原因について、中国商務省の姚堅報道官は「国際間の競争がますます激しくなったのも要因の一つだ」と分析しています。
中国から撤退した外資系企業のうち、金融危機が原因だったり、撤退に関する中国の法的手続きが繁雑であることから、不正撤退した外資系企業があります。これは無責任なやり方です。これについて、北京市高通弁護士事務所の張秀春弁護士は「外国企業が正常に中国から撤退する場合、手続きは複雑かもしれないが、中国の法律は外資系企業の権益を守っている」と語った後、「外国企業が中国から撤退する場合、中国国内での債権と債務を必ず清算しなければならない。清算後もし余剰金がでれば、中国の法律に基づいて関係部門は撤退企業の本社に送金する」と説明しました。
中国政府は外国企業の撤退事件に慎重に対応しており、専門家は、今後、政策の連続性と安定性を保持しながら、法の整備をさらに進めていくべきだと強調しているのです。
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