早稲田大の学生が実地調査の結果を発表している |
早稲田大学ジャーナリズム教育研究院と清華大学のジャーナリズム学院の共同主催による中国の社会問題をめぐる研修プロジェクトが19日から22日まで4日間にわたって北京で行われています。中日両国の大学生は、ジャーナリズムの役割、ジャーナリストの責任などについて議論を展開しています。
20日までに、早稲田大の16名の学生と清華大学の10人の学生を5つのグループに分け、日本で報道されている中国の大卒の貧困層、立ち退きと闘っている芸術家などのテーマをめぐって、実地調査を行いました。
早稲田大の学生たちは、「日本で報道された中国の蟻族(ありぞく。北京などの大都市の郊外の村落で暮らしている大卒の貧困層。給料の良い職に就くことが出来ず、地方からの出稼ぎ労働者である農民工たちと職を奪い合っている)は、生活状況が厳しくて、政府に不満を抱いている。しかし、北京郊外で暮らしている貧困層の若者に実際に会ってみたら、みんなポジティブな考え方を持ち、前向きに生活をしていると感じた。政府に不満を示すどころか、いい仕事がないのは自己責任であると考えている。ある意味で、中国の蟻族は日本のフリーターに当たる」と、実地調査の感想を語りました。
清華大の学生が日本側の発表を聞いている |
早稲田大の学生はまた、日本のマスコミはマクロ的な考え方ではなく、個別な事件に焦点を当てて、繰り返して報道する傾向があり、世論を左右しようとしていると対中報道のゆがみ現象を分析しました。
清華大学のグローバル・ビジネス・ジャーナリズム学科の院生二年の韓淼さんは、「取材相手の選択によって、報道内容が違ってくる。とりわけ、調査報道を行う場合、複数の相手を取材してこそゆがみの少ない報道ができると思う。ある個人の経歴に、自分の偏見を付け加えた報道はしてはいけない」とジャーナリストの責任について、自分の見解を発表しました。
今回の研修活動について、日本側の引率教員を担当する、早稲田大学ジャーナリズム教育研究所研究員の野中章弘教授は、「中国での実地調査を通じて中日の学生が日本の対中報道の歪みを感じとり、中日ジャーナリズムの異同を見出すことができた。日中両国の学生が率直に話し合い、お互いの考え方を十分に交わせたと思う」と話しました。(文責:姜平)
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