EU・欧州連合アメリカサミットは5日午後、チェコの首都プラハで閉幕しました。アメリカのオバマ大統領がこのサミットに参加するのは今回が初めてです。会議では、欧米関係の改善や双方の協力などについて討議されました。中国人民大学アメリカセンターの時殷弘主任はインタビューを受けた際、「オバマ政権はヨーロッパとの関係修復の意向を示しているが、当面の金融危機の背景の下で、欧米関係の先行きは不透明だ」との考えを示しました。
欧米関係の改善と強化は今回のサミットの大きな焦点となっていました。ブッシュ前政権がイラク問題で一方的な政策を取っていたため、ヨーロッパとアメリカの間にはわだかまりが生じました。オバマ大統領が就任して以来、アメリカ政府のヨーロッパに対する政策は積極的になってきましたが、しかし、金融危機対策など、一部の重要な問題で双方の意見の食い違いは明らかになっています。時殷弘主任は、「金融危機が勃発して以来、ヨーロッパとアメリカは各自の利益を抱えているため、異なる立場を持っている。対策の面でオバマ政権が主張している経済刺激は、ヨーロッパが唱えているアメリカのウォール街を始めとする世界金融体制の改革から逃れるためだ。これに対し、EUは不満を示し、公式の場でアメリカ政府を批判している。一方、オバマ大統領もこの矛盾を緩和させる措置を取る意向を示してしない。この問題は短期間内に解決できない」と述べています。
このほか、EU諸国はオバマ政権が発表したアフガニスタンに対する新しい戦略を歓迎していますが、アメリカの部隊増派などの要求について積極的な態度を示していません。これは、ヨーロッパの人々の反戦の立場と自身の安全保障問題を考慮しているからだと見られています。
また、アメリカがチェコでミサイル防衛システムを設置することに関して、オバマ大統領は、「イランが核問題で譲歩しないと、アメリカは東ヨーロッパでミサイル防衛システムの設置を続けていく」と表明しました。ところが、この問題でオバマ政権とヨーロッパは、ロシアの利益を重視することで一致しています。これについて、時殷弘主任は、「ロンドンで開かれた金融サミットで、アメリカとロシアはいずれも、関係修復の意向を示した。ロシアとの対立を緩和させることは、オバマ政権の重要な議事日程の一つとなっている。このため、ブッシュ前大統領と比べ、オバマ大統領は、東ヨーロッパでミサイル防衛システムを設置する問題で、より大きな利便性を得た」と語りました。
また、ヨーロッパが最も関心を寄せている気候変動とエネルギー政策の問題で、オバマ大統領は、再生可能なエネルギーの普及と気候変動に関する交渉への参加を表明しました。しかし、金融危機の下で、アメリカ側が気候変動問題に取り組めるか、ヨーロッパは懸念しています。
中国人民大学アメリカセンターの時殷弘主任は、「現在、金融危機はまだ底が見えない。全体から見れば、金融危機の先行きは、欧米関係の今後の発展に大きく関わっているといえるだろう。当面の複雑な情勢の下で、欧米関係の先行きはまだ不透明だ」と述べています。(翻訳:洋 翻訳:吉田)
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