パレスチナ自治政府を主導するパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハと、対立関係にあるイスラム原理主義組織ハマスの和解実現のため、ここ数日、パレスチナ自治政府のアッバス議長は積極的な態度を取ってきましたが、その目標の実現はたくさんの困難に直面しています。
アッバス議長は8日ヨルダン川西岸都市ラマラでメディアに、「ファタハとハマスの間には大きな意見の食い違いがあるものの、ハマスを含む連立政権を設立する」と述べました。それに先立ち、パレスチナ自治政府のファイヤード首相は7日、辞表を提出しました。これは新しい政府の設立の準備をしていると見られています。
一方、エジプトの斡旋で、ファタハは10日カイロでハマスと和解協議を再開することになります。2007年6月にハマスが武力で一方的にガザを支配して以来、「ハマスがガザを、ファタハがヨルダン川西岸を支配する」という局面となっています。その後、双方は各自の勢力範囲で互いのメンバーを逮捕する一連の行動をとりました。その結果、双方の対立がエスカレートしました。
2007年下半期、ファタハはブッシュ政権の提唱に応じて、アナポリス中東和平国際会議で、イスラエルのオルメルト首相と和平交渉を再開しました。それと同時に、イスラエルはガザへの封鎖を強化し、ハマスもイスラエルを敵視する立場を緩めず、中東問題関係四者が達した和平三原則を断りました。
2008年末アナポリス和平協議が崩れ、年末から09年初めごろまで22日間に渡ったイスラエルの軍事行動により、ファタハとハマスの政治理念の食い違いが更に拡大されています。ハマスはファタハ所属のパレスチナ安全部隊がガザ検問所をコントロールすることに不安を感じています。一方、ファタハにとって、相互の逮捕行動を防ぐため、政治安全問題を考えなければなりません。
互いに警戒している中、ハマスとファタハはどうやって連立政権を設立するのか、ヨルダン川西岸とガザ地区の関係、政府の構成、PLOの改革、安全部隊の再建などの問題は解決されなければなりません。これらの問題はこの前の連立政権で解決されなかったため、連立政権が最終的に解散することにつながりました。
アッバス議長は8日、全力を挙げてハマスと和解すると表明し、「新政権は、イスラエルを承認するなどパレスチナが約束した義務を果たすべきだ」と強調しました。2007年3月に連立政権が成立する前、イスラエル側は、パレスチナ新政府の政治綱領が和平三原則に背くことを理由に、連立政権を承認しませんでした。アッバス議長はこのようなことを防ぐためだと見られています。しかし、パレスチナ人に人気のハマスにとって、この要求は受けられないだろうとの見方があります。
専門家は、「アッバス議長にとって、今後右翼のイスラエル政府に対する新しい情勢の下で、ハマスと和解し連立政権を築くことは、アメリカ新政府が支持するパレスチナ・イスラエル和平交渉にとっても、ガザ問題の解決にとっても、理想的な選択肢だ。しかし、和解の道のりは困難に満ちている」としています。(翻訳:ooeiei)
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