○松山湖科学技術産業パーク
東莞の松山湖科学技術産業パークは、2001年に設立されたもので、広東省の中南部、珠江デルタ地帯の中心部に位置している。南は香港と深セン、北は広州に隣接しており、優れた立地条件に恵まれている。
2007年末まで、29の科学研究機関や、世界大手企業500社うち9社、多国籍企業18社、それに大型のハイテク企業86社が進出。現在、東莞の科学技術の研究・開発センターとして、経済と社会の構造転換を推進する強いエンジンとなっている。
一方で、実際にこの目で見た感じでは、技術開発区というより、高級リゾート地のような感じでびっくりした。まさに、「科学技術と山水が一色」というコンセプトが、産業パークの隅々に実感できる。総面積72平方キロの範囲に、松山湖の8平方キロと生態緑地14平方キロが含まれるというわりには、その環境の良さも理解できるだろう。
この科学技術産業パークには、日系企業も数多く進出している。そのうち、万科国家住宅産業化基地は、日本の建築技術を利用し、省エネと土地節約型の住宅建設の新しいモデルを模索することで注目されている。日本の専門家が常駐するという。
○恵州の西湖
杭州の西湖というと、馴染み深い人が多いだろう。広東省の恵州にも美しい西湖があると聞いた。東莞から車で一時間半ぐらいかかって恵州に到着。
恵州は山と水に恵まれる都市である。二本の川が市内を流れ、五つの湖からなる西湖を地元の人たちが自慢に思っているらしい。私たちが泊まったホテルは西湖のほとりにたたずんでいる。地元の人によると、この湖は川の流れ道が変わったことでできたそうだ。宋の時代の有名な詩人、蘇東坡が左遷され、ここで二年間ぐらい暮らしたことで、有名になったという。
私たちは夕日を浴びて、蘇東坡の詩の世界に浸りながら、小舟で湖を回り、「蘇堤」を散策した。湖の中心部には、離島があって、白鷺の楽園となっている。舟が近づくと、いつも餌を貰える公園のスタッフと思ったのだろうか、興奮して木の周りを飛び回った。
地元政府の責任者によると、以前、水がこんなにきれいではなかったため、鳥があまり生息しなかった。近年、市政府は環境整備を重視し、汚水排出を取り締まり、湖周辺にある建物を取り壊すなど、「湖を住民に返す」措置を講じた。現在、湖は川につながるようになり、白鷺が群がっている。
西湖は2000年から無料で市民に公開し、食後の散歩、ジョギング、土日のレジャー目的地としてよく利用されている。
*ちなみに、散策で通った西湖の湖畔に、かの蘇東坡が恵州で作った詩が刻まれた詩碑が建っている。
食茘枝 (茘枝を食べる)
北宋 蘇軾(そしょく)
羅浮山下四時春
羅浮山下(らふさんか) 四時春のごとく
盧橘楊梅次第新
盧橘(ろきょう) 楊梅(ようばい) 次第に新たなり
日啖茘枝三百顆
日(ひび) 茘枝を啖(くら)うこと三百顆
不妨長作嶺南人
妨げず とこしえに嶺南の人となるのを
○南海に面する海亀自然保護区
恵州の県のひとつ、恵東県の港付近にある海亀自然保護区を訪れた。三面は山に囲まれ、南は海に面している。一面に広がる南海である。
ここは、アジア大陸唯一の海亀の自然保護区で、1986年に設立されたものだ。小山を下って、眼下には波を立つ海と細い砂でできたきれいなビーチが広がっている。実は、ビーチの面積はそれほど大きくない。東西1000メートルぐらい、幅70メートルぐらいの細長い地帯だ。
海亀の産卵時間は6ー9月。ここは南海北部の大陸沿岸地帯にある唯一の海亀産卵地である。海亀の甲で高級なくしやめがね、アクセサリー、化粧品の材料として利用できるほか、食用や薬用のため、30年ぐらい前に、密漁は深刻な状況だった。ビーチには海亀の死骸がいっぱい転がったという。
現在、海亀への保護が強化され、産卵期間、関係者以外のビーチへの立ち入りを厳禁している。また、24時間パトロールする体制で、海亀の卵を集め、人工孵化したり、自然孵化した子亀を飼育したりするなど、海亀の成育率を高めた。
この海亀自然保護区は主に省財政の資金拠出で維持し、現在、科学研究と教育の基地としても利用されている。(周莉)
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