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四川大地震の取材で最も印象に残ったこと
   2008-06-23 18:41:12    cri

この竹、長すぎる

これ、どう食べる?

 もう一つ、印象に残ったのは、臥龍自然保護区の取材でした。

 5月12日の四川大地震が発生した後、成都、都江堰を経由して、映秀からパンダで有名な臥龍自然保護区に入る通路が完全に遮断されました。震源地の映秀から8キロしか離れていない臥龍自然保護区は一時は、外部との連絡がまったくできなくなりました。6月3日から5日まで、私は援助物資の輸送チームに同行して、臥龍自然保護区を取材してきました。

 成都から臥龍まで、本来は車で3時間ほどなのですが、今は別のルートで12時間以上かかります。

 昼ごろ、臥龍自然保護区のオフィスエリアに着きました。ここの建物のほとんどは倒れそうになっていましたが、職員たちは外の芝生にテントを張って、日常の仕事を続けています。

 臥龍自然保護区は今回の大地震の震源地であるブン川にあり、1963年に設立された国家レベルの保護区です。面積20万ヘクタールの臥龍自然保護区の中には、1980年に中国ジャイアントパンダ保護研究センターが設けられました。今、このセンターでは、世界最大規模のパンダの人工飼育を行っています。 

 パンダ保護研究センターが、オフィスエリアから7キロ離れた山の麓にあります。入り口では、二人の警察官が警備に当たっています。出入りする人は、両手と靴の底を消毒する作業が義務付けられています。これはパンダに伝染病がうつるのを防ぐためです。

 今回の地震で、14の獣舎がつぶれてしまい、18の獣舎が倒れそうになっていました。台湾に寄贈する予定だった一つがいのパンダ、団々と円円の獣舎は、崩れた大きな岩石の下敷きになりました。

 黄炎さんはパンダの飼育責任者の一人です。地震当時、パンダの救出に当たったときのことを思い出して、こう話してくれました。

 「全壊した獣舎を見て、がっかりしました。必死に探し続けて、近くで団々を見つけました。埃だらけで真っ黒になった団々は、なんだか怯えているようでした。麻酔銃で眠らせて、運んできました。当時行方不明になった円円は、数日後、野山から戻ってきました」

ちょっと待ってよ

つぶれたパンダの檻

 地震が発生した後の数日間、パンダたちは怯えて、檻に入らず、ずっと木に登ったままでした。すべてのパンダは目の動きが鈍くなり、食欲もありませんでした。

 これについて黄炎さんはまた、「地震前、センターには63頭のパンダがいましたが、地震後6頭が行方不明になりました。今もまだ2頭が行方不明になっています。今、47頭のパンダを飼育しています」と話しました。

 その時点で、行方不明になったパンダは2頭でしたが、そのうちの一頭、マオマオは、その後瓦礫の下敷きになり、死んでいたことが分かりました。現在、6頭のパンダが雅安にある自然保護区に移されたほか、8頭のパンダがオリンピックパンダとして計画どおりに北京に運ばれ、北京動物園で暮らしています。

 午後3時ごろ、地震から生き残った団々と円円は臨時の獣舎で、えさの竹をゆっくり食べながら、飼育係が山から引き入れてきた泉の水を飲んでいます。飼育係は仮設のかまどの前で、何かを蒸しています。

 「今、パンダに食べさせる蒸しパンを作っています。竹の粉、とうもろこし、ビタミンなどが入っています。一日に50キロ、二回作らなければなりません。」と飼育係が紹介してくれました。

 飼育係の皆さんの努力のおかげで、パンダたちはすぐ食欲を回復しました。毎日、蒸しパンのほか、たくさんの竹、りんご、にんじん、そして特製の牛乳などの餌をやらなければなりません。

 パンダの餌を確保するため、研究センターは色々工夫しました。臥龍自然保護区には、天然の竹がたくさんありますが、地震後、山に入る道路が土砂崩れで遮断されたため、竹を伐採するのは、なかなか難しくなりました。

 しかも、冬になると、臥龍に入る今の道路が雪で通れなくなる恐れがありますので、備蓄のため、ここの天然の竹をむやみに伐採するわけにはいきません。ですから、センターは、週に一回3000キロから3500キロの竹を遠い所から調達しています。距離は前の数倍で、仕入れの値段も10倍ぐらい上がりました。

丸ごとに食べましょう

姜平記者が団団と円円の檻の前で

 四川省は中国の主な野生パンダの生息地で、その面積は野生パンダの生息地の8割を占めています。臥龍自然保護区の野生パンダの生息地は今回の大地震で、それほど大きな被害を受けませんでしたが、パンダの人工飼育の将来について、黄炎さんは「ここは野生パンダの生息地なので、パンダの飼育と繁殖にいいです。しかし、今は、土砂崩れが頻繁に起こっているし、道路も遮断され、交通が不便になりました。停電、断水のほか、パンダの餌も遠いところから調達しなければなりません。これからのことですが、地質学の専門家に、ここはパンダと人の暮らしに相応しいか判定してもらう必要があります」と心配しています。

 地震が発生した後、中国林業省の専門家チームは臥龍自然保護区を訪れ、現地の地質状況を色々調べ、臥龍の将来について検討しました。また、大学と研究機構の専門家からなる企画チームも臥龍を視察し、保護センターの再建計画を立てようとしています。

 臥龍自然保護区の復興作業は近いうちにできる見通しはありません。保護区の責任者、夏緒輝主任は、時間をかけて取り組んでいくつもりです。

 夏緒輝主任は、「我々は仮設住宅の建築材を調達しています。仮設住宅ができたら、寝室と事務室で電気暖房を使うことができます。これで、この冬を無事に乗り越えることができるでしょう。あと3、4年、我慢すれば、復旧作業がうまくいくはずです。将来の臥龍は今よりもっと美しくなるかもしれませんよ。」と話しました。

 パンダ研究センターの黄炎さんも臥龍の将来に決して悲観的ではありません。「ここには100頭以上の野生パンダがあります。臥龍はパンダの科学研究、保護、繁殖・・・いずれにおいても、やはり中国一であり続けるでしょう。ここの環境は、なんといってもパンダに相応しいですから。研究センターを新たな場所に建て直すとしても、それは必ず、臥龍自然保護区の中だと思います。」

 臥龍の将来に対して、現地の住民も自信をもっています。住民の一人、明ゴウさんは次のように話しました。

 「あっという間に、臥龍のすべてが壊されました。それでも、我々の後輩たちがきっと新しい臥龍を復興してくれるでしょう。臥龍の未来は明るいと思います」(取材、文:姜平)


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