中国古来の文武の技で高格調の日中友好に全力を尽くしたい!!
幼い頃から書道と武術に携わってきた黄教聡は、日本でも中国の文武を伝える活動を展開している。また、環境事業の会社に勤めて「中国の環境改善にも乗り出したい」と意欲的だ。黄さんの日本での活躍ぶりを聞いてみた。
黄教聡(日中文武国際芸術研究学会会長)
1956年上海生まれ。83年上海理工大学卒。89年来日、国立静岡大学経済学専攻を経て、91年から国際経済文化活動をライフワークとし、書道家(発明した新書体「行魏書」と「行隷書」で英国ケンブリッジ【国際名人辞典】等に収録)としても活躍している。イカリ環境事業グループ国際経済文化教育室室長(部長)、日中文武国際芸術研究学会会長などを務める
取材は張国清北京放送東京支局長である。この取材内容は日本東方通信社の週間雑誌「コロンブス」2007年2月号に掲載されている。
日本の技術力で中国の環境を改善する
張国清: まず、黄さんが来日した経緯についてお聞かせください。
黄教聡: 私は89年に来日しました。留学という名目で、静岡大学経済学に入学したのですが、周恩来などの尊師と同様に、ほとんど国際交流と独学に明け暮れていました。
張:来日する前はどういったことをしていたのですか。
黄:江沢民氏が所長を務めていた上海市電器科学研究所で、情報管理とドイツ語通訳として働いていました。その後、文匯報という新聞の通信員として執筆活動を経験しました。
張:来日した理由はどういったことだったのですか。
黄:実をいうと、私はあまり日本に行きたくなかったのです。どこか資本主義という社会に恐怖を抱いていたのです。そんな最中、ある人と「日本の印象」について議論になりました。私が「日本の印象は良くない」といったところ、その人に「見たこともないのに悪くいってはいけない。1カ月でもいいから、日本に行くべきだ」といわれたのです。そこで「百聞は一見にしかず」と思い立ち、留学の形で来日したのです。それで今日に至っています。日本が恐くないということは、来日してすぐにわかりましたね。
張:大学での国際交流とは、どのようなものだったのですか。
黄:静岡大学にいる間は、県や市、新聞社、テレビ局などと大型の国際交流書道展を6回ほど開催しました。そのほか、武術指導なども行いました。ところが、いざ就職となると、「中国人留学生が日本で就職するのはむずかしい」という話を耳にしました。ですが、私は持ち前の負けん気で、求人情報を見て応募し、東京での面接後、3社から内定をもらうことができました。そして、私はそのなかで、当時、もっとも格調が高いと感じた会社を選びました。それが現在も勤めている(株)イカリ消毒です。入社したのは91年のことでした。
張:そのイカリとはどういった会社なのですか。
黄:当社は社員約700人、業界の最大手です。いずれ中国ビジネスを展開しようとしています。そこで、私は来年の年明けからは、中国マーケットに働きかけていく予定です。もちろん、日本企業が中国進出をはかる際には、数多くの困難が生じます。とりわけ最近の中国は頻繁に法律を変える傾向があります。そのあたりを踏まえつつ、ビジネスの土台をつくっていきたいと考えています。
張:仕事を進めるうえで、どのような心構えをお持ちですか。
黄:私は何よりも「中国と日本のために頑張る」という信念でビジネスに励んでいます。そして辛抱強く、最後までこの信念を貫き通すことを心がけています。とりわけ当社と両国のために、日中友好と事業貢献の達成に努めたいと思っています。
張:中国での事業にかける思いが伝わってきました。では、実際に中国ビジネスの進捗はどうなのでしょうか。
黄:今年を準備期間として、日中の人脈やこれまでの交渉結果をまとめていきたいと思います。当社はすでに日本全国90カ所の支店を持っています。また、取引先は食品工場、高層ビル、病院、学校、幼稚園、官庁、百貨店、一般家庭など幅広い領域を網羅しています。とはいえ、まだ「3000店舗をいっぺんに消毒してもらえないか」という中国政府側の要望に応えられるほどの規模にはなっていません。このあたりを根本的に解決してから、中国ビジネスに乗り出したいと考えています。
張:その際、イカリの事業システムをそのまま中国に移行するのですか。
黄:イカリの事業の中心は害虫駆除、防虫、防鼠、防菌、防臭などです。それらについては、日本で実施しているシステムを移行するだけではなく、サービス、システム、新技術新製品を開発する部隊も現地に養成していく予定です。もちろん、中国の実情に合わせたものも開発したいと思います。
張:ところで、日本企業が中国ビジネスに乗り出すときには、どのようなことに注意すべきでしょうか。
黄:日本企業は「中国のために来た」という気持ちでビジネスに臨むことが大切です。そのためには、謙虚さと友好、そして誠意、高度な運営管理能力が要求されます。そういった日中の友好交流に最適な中国人や日本人を育成したいと思っています。それがうまくいけば、日中関係はイッ気に進展するはずです。それが私の人生の最終目標と使命です。
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