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友誼林提唱者の会長御夫婦です (無錫湖賓飯店の庭) | 中国江蘇省無錫市には春になれば3000本桜が咲き誇る「中日桜友誼林」があります。そこに植えられた桜は日本の「桜友誼林建設実行委員会」が全国から寄せられた資金で調達したものです。実行委員会の会長は坂本敬四郎さん(当時・日中温灸療法普及会会長) 委員長は長谷川清己さんです。
1986年4月訪中団を募り、長谷川さんが団長、坂本さんが顧問として無錫市を訪れた時、中国側はホテルで盛大な歓迎パーティーを開催しました。席上、訪中団の団長であった長谷川さんは日本と中国の友好交流の一助にもなるため、日本の桜1000本を寄贈したいという申し出をしました。これに対して、中国側は「日中温灸療法普及会」と無錫市は特別の関係にあり、その歴史の上に立ってさらに友好を育みましょうとこの話を受ける約束をしました。
日本に帰って長谷川さんたちは早速「桜友誼林建設実行委員会」を結成し募金活動にとりかかり、公募で集めた資金で3000本の苗木を調達し1988年の第1期工事は1500本の桜を植え、友好記念として東屋と記念碑も建てました。そして、1989年中日関係が低調な時期にあったにもかかわらず当時の日本最大の訪中団を率いて、再び無錫を訪れ第2期の500本を植えました。1990年にはさらに1200名という大訪中団の団員の手で1000本の桜を無錫の公園や運河のほとりに植えました。
桜友誼林は1988年から1990年まで3年かけて完成しました。その後長谷川さんは「桜友誼林保存協会」を設立し、中国側の同意を得て毎年桜の季節に桜を植え続けています。現在までの18年間に桜は8000本に達し、訪れた人も延べ1万人になりました。
日中共同桜友誼林は植樹を始めて3年で目的の3000本の桜が植えられ完成しました。それからも毎年桜の季節に訪中団を派遣し、中国の人々と親交を深めています。
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記念式典での両国の役員紹介 (桜鑑賞楼) |
日本からの参加者 (5分団のメンバーです) |
10年目の春、無錫を訪れた長谷川さんは「無錫市の桜友誼林が知れ渡り、桜の苗木についての問い合わせが各地から舞い込んできます」と感無量の表情でした。
長谷川さんは若いころ徴兵され、当時、前線であった中国に配属された経験があり、平和の尊さを悟り、平和友好の場として桜友誼林建設を決意したのです。
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桜植樹の時 (日本代表団のメンバーと中国の子供さん) | 日本では桜は一般大衆の心を安らげる花です。この花は人を愛し平和を愛する人々の心の内を形に表した平和の花です。平和を願う日本人の心を桜に託して、友好の促進と世界平和を願っています。戦争体験者として、本当に二度と再び同じ事を起こしてはならないという、平和を願う純粋な気持ちを伝えたいと長谷川さんは固く心に誓いました。
どうしてその「桜友誼林」を手がける気になったか、と聞かれた長谷川さんは「日中間の過去100年来に及ぶ歴史は両国民の苦難の歴史であり、国家を語る前に、国家を支える庶民の素朴で、純粋な気持ちを一人でも多くの方々にお知らせし共に参加、協力いただき心を寄せ合い一つのものを建設することで日中友好に役立ちたかった」と答えました。
桜友誼林保存協会は民間ボランティア団体で全国各地から賛同を得た人々で毎年訪中団を結成し、中国に桜を植える活動を通じ友好親善、世界平和を子々孫々まで願っています。
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