河北省の旅の後半は省都・石家庄の周辺をめぐります。初日の今日は、午前中、石家庄に近い正定県を訪問しました。
正定県は中国の歴史文化都市にも指定されている古都で、今も周囲12kmの明代の城壁がきれいに残っています。臨済宗の発祥・臨済寺があることから、日本の臨済宗の方たちがよく訪れるということです。
その正定を代表する観光地が最初の訪問地の隆興寺です。隋の時代・586年の創建ですから、1500年以上の歴史がある古刹で中国十大名寺の一つにも数えられています。
隆興寺
現在の寺は基本的には北宋の時代(10世紀)に建てられた形を引き継いでいます。その後、一部は再建修理されていますが、北宋の寺院建築の特徴をよく伝えています。
現存する中国最古で最大の転輪蔵(北宋時代)
その他、仏像や壁画、転輪蔵、石碑などが豊富にあり、仏教美術の宝庫とも言えます。広々とした境内を散策しながら、いろいろなものと出会う楽しさがあるお寺です。
世界最古で最大の銅鋳千手千眼観音
中国で最も美しいと言われる銅鋳毘盧遮那仏
東方の女神と言われる五彩懸塑観音像
この隆興寺のすぐ裏に、何と国立卓球訓練センターがありました。
中国の代表選手が訓練をする他、海外からも代表選手が合宿に来たりします。ちょうど私たちが訪問したときは、中東バーレーンのナショナルチームが来ていましたが、日本の福原愛選手も何度も来ているそうです。
また、体育学校も併設されており、6歳から20歳までの160人の学生が日夜卓球に励んでいます。
そして、この卓球訓練センターのすぐ近くにあったのが栄国府です。
何やら古めかしい邸宅で、さぞや名のある大金持ちの屋敷に違いないと思っていたら、実は、ドラマの撮影用に作ったオープンセットでした。
中国では映画やドラマの撮影用に昔の街や家を再現して、それをそのまま残してテーマパークにしているところがたくさんあります。ここもその一つで、中国4大小説の一つ「紅楼夢」の撮影のために作られたそうです。厳密な歴史考証により忠実に当時の邸宅を再現しているということで、確かに、何も言われなければまったく分からなかったと思います。まさにこうして歴史は作られるわけです。
午後は石家庄の東南40kmの趙県を訪ねました。最初に行ったのは柏林禅寺。創建は西暦200年前後に遡るということで1900年の歴史がありますが、建築として古いものは元の時代1331年に建てられた塔が残っているだけです。
とは言え、正定県の隆興寺が今は僧侶のいない全くの文化財になっているのに対して、こちらは現役バリバリの生きた寺院で、150人の僧侶が朝晩勤行に勤めています。私たちを案内してくれたのも若いお坊さんでした。
中国の寺院はご本尊も金ぴかで、しっとりとした日本のお寺に慣れた目には、ぎらぎらとパワーがみなぎっているように見えます。
今日最後の訪問地は、趙県の石の古橋。隋の時代・西暦600年前後に築かれたものと言いますから、日本で言えば聖徳太子の時代です。遣隋使として訪れた小野妹子が国書を奉じたところ、皇帝・煬帝が立腹したという逸話が残っていますが、その頃ここに築かれた橋が今、目の前にあるのだと思うと感慨深いものがありました。アーチ型の橋は形も優雅で、何度も修理をくり返してきたとは言え、今もしっかり立っています。
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