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河北省取材1日目

2013-08-27 12:23:59     cri    

 河北省の旅、最初の目的地は懐来県沙城のワイナリーでした。ここで作られる長城ワインは、中国でも1、2を争うブランドです。出来たばかりのワイナリー・ビジターセンターには、1979年からの長城ワインの歴史や世界に展開する長城ワインの現在が展示され、今や世界レベルのワインになったことがよく分かります。

 

 実は、この長城ワインを最初に飲んだのは今から20年以上前に遡ります。今日通った北京から八達嶺を通って張家口へ行くルートは、1990年に『萬里の長城』の撮影で通ったコースでもあります。この道は、その昔、北から攻め込んで来る遊牧騎馬民族と漢民族が熾烈な闘いをくり広げたところで、15世紀中頃には自ら前線に出て戦っていた明朝の皇帝が捕虜になってしまうという大事件が起きたところでもあります。以後、明王朝はモンゴルと正面から戦うことをやめ、防御を固めることに専念するようになります。そこで全土に築かれたのが長城なのです。そんな話を取材するために、この地域で撮影していたとき、最近出来たワインとして出されたのがこの長城ワインでした。

 それまで中国にあるのは、新疆や山東省煙台産の「ブドウ酒」で、飲んべえの私たちには甘ったるくてなかなか飲む気にはなれないものでした。その中国で初めて飲んだ西洋風の「ワイン」がここ沙城の長城ワインだったのです。(日本語で「ブドウ酒」は「ブドウから作る酒」、「ワイン」はその中の「西洋風のブドウ酒」というニュアンスがあります)当時はまだ白ワインだけでしたが、寒い冬に熱い鍋に冷えた白ワインが意外にピッタリでした。

1990年に飲んだ長城ワインはこんなラベルだった記憶が

 それから20年あまり。今や長城ワインはフランスやチリにもワイナリーを持つ、紛れもなく世界ブランドに成長しました。そういう意味ではまさに発展する中国の象徴でもあります。

 今日、話しを聞いていて興味深かったのが、ワインが出来るのは決して良い土壌の場所ではなく、むしろ石灰岩の多い不毛な土地が向いているという話でした。そういえばヨーロッパのワインを取材したときも、もともと荒れ地だったところにブドウを植えたのがワイン作りの始まりだったという話しを聞きました。昔は、土壌が悪くきっと貧しい農村だったのが、ワインの生産地となることで逆転した。案内してくれた係の女性もきっと何代か前は貧しい農民だったに違いない!と思い、お父さん、おじいさんの仕事は?と聞いてみました。すると1人は工員、もう1人は教師ということで、ちょっと当てが外れてしまいました。取材はいつもいつも思い通りに行くとは限りません。

 午後は完璧に城壁が残る村・鶏鳴駅と張家口市内の旧市街を見学しました。鶏鳴駅は村のたたずまいもさることながら、廟に残された明代の壁画がなかなか良かったです。

 ただし、村としては若者は外に働きに出て残っているのは老人と幼い子どもたちばかりで、どことなく活気にかけているという全世界共通の農村風景でした。

 張家口市内の旧市街・張家口堡は、よくここまで残されたと驚くくらいに旧市街地の面影を残しています。観光開発は始まったばかりのようですが、整備が進めば地域全体が一つの博物館のような面白い空間になる可能性を持っていると思いました。今後が楽しみです。(文:大野、写真:李陽)

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